「T.O終了です。両チームコートに出て!」
審判の声とブザーで秀徳・誠凛ともにコートに出る。残り時間は2分。点差は1ゴール。…どうなる事やら。
「秀徳はやっぱ緑間で来るだろうな」
「…でも、パスコースがわかれば、黒ちゃんのスティールが増える」
日向の速攻で点数が入るかと思われたが、それは執念を見せた4番のブロックで終わる。
「緑間にオフェンスを任せるって事は、他4人がディフェンスに専念出来るっつー事でもある。下手にランガンで接戦を繰り広げるよりは、この2点を死守した方が安全敗だろうな」
「誠凛が焦ったところで緑間っちが3P…そうゆう事スね」
「………」
このゲーム、まだ動かないわね。
と言う事は。
「きーちゃん、あたしトイレ行ってくる」
「えぇっ!?なんで今なんスか!?あと1分ちょいじゃないスか!!」
「今だから行きたいの」
すたっと立ち上がりダッシュでトイレへ行って光の速さですぐに出る。今のあたし多分変な人。でもよく頑張ったあたし最短記録だよ。じゃないや。
さっさと戻れば、40秒を切ったところで点差がさっきより開いていた。どうやら動き出したらしい。
「早っ!」
「いちいち騒がしいんだよお前は!」
「イタッ!!!」
隣でそんな問答があっている中、日向か3Pを決めて再び2点差へ。さらにオールコートで当たった誠凛に運が北らしく、アウトオブバウンズで誠凛ボール。
あと、15秒。
「…4番が、日向のマーク、ね」
「それでも誠凛は3Pしかねぇ。日向が決められなきゃ負けだ!」
タイマーが再び動き出す。ここは、2年の意地の見せどころだよ日向。あたし結構アンタの事気に入ってるんだから。
8秒。4番がうまい具合にスクリーンにかかり、日向がフリーで走った先は…3Pラインのはるか遠く。最早センターラインに近いそこへ黒ちゃんのパスが飛ぶ。溜めの長いそのシュートは、綺麗にゴールネットをくぐった。
「逆転!?」
「あぁ、バカ。何ほっとしてんのよ…!」
あと5秒。勝ったと思ってるのは観客だけだよ。
10番が素早くみーくんにパスを出した。目の前にバ火神はいるけど、跳べるとは思えない。黒ちゃんも虚をつかれて反応出来ていない。
「っああああ!!!」
絶対に止める、そんなつもりでバ火神は跳んだんだろう。でもみーくんはその一枚上手。残り時間も少ないこの場面で冷静にフェイク。さすが。
「……でも、ね」
一度下げたボールは再びモーションへ行く途中で、今の数瞬の内に動いていた黒ちゃんの手によりゴールへ飛ぶ事はなかった。
ブザーが鳴り響き、試合は終わり。
「82対81で誠凛高校の勝ち!!」
「「ありがとうございました!!!」」
「………こんなにヒヤヒヤする試合、初めてだわ」
でもまぁ、その分楽しめた…かな?
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