1Qもあと3秒。日向がシュートを決めて終われるかと思った矢先、誠凛のゴール下にいたみーくんが今まで以上に膝を曲げ、シュートフォームに入る。…まさか。確かにあたしの修正を入れた成長予測では、みーくんはオールレンジから打てるとこまで成長してるけど、現実的に実現するなんて。
スパンッ、と音を立てて3Pが決まる。もうむしろあれ5点分くらいあってもいいと思う。

「第1Q終わりです、インターバル2分入ります」

観客席が未だみーくんの3Pで沸いている中、誠凛はお通夜ムード。こらこら、そんなんじゃ勝てる試合にも勝てないよ。

「しんどいッスね」

「点差が開いたのも痛いが、さっきのは精神的に来るだろうな」

「…オレ、緑間っちとはやりたくないッス」

「ぁあ゛!?勝ち続けりゃいつか当たんだ、弱気になってんじゃねぇよ!」

どつくぞ、と言いながら既にどついている笠松さんを見て思わず笑みが零れる。まだ観てるだけだから、というのもあるだろうけど、これを観ていてもテンションが下がらないとゆーのはすごい事だと思う。

「まー、まだ1Q終わっただけ。2Qで流れは変わるかもしれないでしょ」

「…そッスね」

きーちゃんの歯切れは悪かった。あたしだって内心はそうとは思えない。今までの誠凛の流れ作りが黒ちゃんからであったという事はこの試合を見ればわかる。その黒ちゃんが潰されて、じわじわと点差が広がって。ここはどうなれかが根性で変わる、
第2Qの開始ブザーが鳴った。………けど。

「おいおいおい、くらいつけろよ誠凛」

第1Qの方が勢いがあったせいか、全然見応えがない。何より誠凛の攻撃がまったくと言っていいほど通用しなかいのだ。
黒ちゃんを組み込んだ連携プレイは全くダメ。みーくんに集められるボールは全てゴールをくぐり抜ける。
力の差は歴然としていた。

「…まじぃな。いよいよ何か万策尽きたって感じだ…」

まったくもってその通り。何か言葉を返そうとそっちを向いたけど、きーちゃんの真剣な表情に思わず固まった。
それと同時に小さくコート内から火神の笑う声が聞こえ、そちらを見る。

「?!」

「いや…どうスかね」

…今までの試合を見ていなかったのがアダになったかもしれない。何と言っても火神のデータが足りなさすぎる。もしかして、もしかすると。
こいつ、とんでもないものを持っているんじゃ…?



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