勝敗は最早言う事でもないでしょ。黒ちゃんを中継としたきーちゃん・火神の連携プレイは神憑り的なものさえ感じられた。
要するに瞬殺ってこと。
「まったく…本当に遊木さんは危なっかしいですね」
「ほんとっスよ!あのまま喧嘩とかになってたらどーするんスか!?」
「その時はきーちゃんと黒ちゃんが助けてくれると思ってたから」
「結局他人任せかよ!?」
もう、ガミガミガミガミ言わないでよね。なんの為に終わり良ければすべて良しって言葉があると思ってるのよ。
「でもアイツ等酷かったじゃない」
「それはそうですけど…」
「同意してんじゃねぇよ黒子!つか大体テメーがコイツについて行くからっ…」
矛先が黒ちゃんに向いたことにほっとしていると、そんな火神と黒ちゃんを見てきーちゃんが目を丸くしていた。
「……」
「火神なら大丈夫なのかも、とあたしは思うんだけど」
「っ!……そっスね」
「きーちゃんも頑張ろ?」
「はいっス。…じゃ、オレはそろそろ行くっスわ」
エナメルバッグを掴んで笑うきーちゃんは憑き物が落ちたみたいに明るくて、なんだか安心できた。
「最後に黒子っちと遊木センパイとも一緒にプレイできたしね!」
黒ちゃんは返事もせずじっときーちゃんを見ている。
「あと火神っちにもリベンジ忘れてねっスよ!予選で負けんなよ!!」
「火神っち!?」
「黄瀬君は認めた人には『っち』をつけます」
「やだけど!!」
きーちゃんが見えなくなってしまった頃、フェンスの向こうからリコが走って来るのが見えた。…そう言えば黒ちゃん捜索してたんだっけ。
「…れじゃあたしも帰るね」
面倒事に巻き込まれたくないし。
「バイバイ黒ちゃん、と火神も」
「、遊木さん」
「ん?」
「…ありがとうございました」
「気にしなくていいよー」
何に対してのお礼かはわかんないけどあたしは大した事してないし。久々にバスケも出来て楽しかったしねー。
手をひらひらと振りながら、リコが来る前にさっさと帰路につくに限る。
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