「んだよクソ、なんかウジャウジャいんじゃん」

きーちゃんと火神の喧騒の中、突如耳をつんざくような声が聞こえてそちらを向けば、ガラの悪い奴等が先にバスケをしていた子達に文句をつけているみたいだった。

「オマエ何いきなり黒子ラチってんの!?」

「は？ちょっとぐらいいいじゃないスか!」

「帰れねんだよ!」

こっちはこっちで勝手に盛り上がってるし黒ちゃんも困ったように二人を仲裁しているだけでコートの中の様子には気付いていないらしい。
不穏な空気はあるもののまともにバスケをしているみたいだし放っておこうと思った。時―――、

「はいブローック!!」

「って!!?」

ブロックに見せかけたっていうか完全なファウルじゃん。それじゃアンスポとられるよー、なんて言っている場合でもないらしい。
これは見ていられないなぁ。きーちゃん達は相変わらず気付いてないし。

「しょーがないな…」

火神にどつかれた時に黒ちゃんが落としたボールを持ってコートに入る。反論した子を蹴っていたヤローが顔をあげた瞬間に横髪をかするくらいのスレスレのところにボールを投げ付けてみた。

「っあ!?」

ビビったらしいそいつが尻餅をつくと同時にボールがフェンスに当たって大きな音を立てて、でもあたしはそんなの気にしない。

「バスケットする人間ならルールくらい守りなよ。年下に勝てないからって暴力に頼るなんて、カッコ悪いだけなんだけど」

「あ゛ぁ!?なんだよ急に出て来て…」

「待てよ、なかなかキレーな顔してんじゃん。……じゃーさ、俺等とバスケで勝負してそっちが負けたら遊んでくんね？勝ったら大人しく引き下がってやるよ」

「全然いいよ」

「っしゃ!!」

「…あ、でも勿論誰もこっちがあたし１人とは言ってないからね？」

「な…ぁ゛!!?」

後ろで止まった足音を感じて上を向けば呆れた様子のきーちゃんと目が合った。

「遊木センパイ、相変わらずっスね…」

「そう？ありがと」

「あの…ボク達もまざっていいですか？」

「つーかいきなり何かましてんだ…ですよ」

誉めてないっス、なんてきーちゃんに言われたけど気にしない事にする。それ以上にこれからの展開に思いを馳せてにやけるしかなかった。

「５対４でいいよ。…さっさとかかってくれば？」

「なんだとっ…」

挑発に乗りやすい奴って扱いが楽でいいよね。



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