「オレと他の4人の決定的な違い…それは身体能力なんかじゃない。…遊木センパイなら、わかるっスよね?」
「……誰にも、それこそきーちゃんにも真似できない絶対的な才能をそれぞれ持ってること、かな」
「そうっス」
ぽつぽつと呟けば、きーちゃんは頷いて返してきた。
「今日の試合で分かったんス。アイツはまだ発展途上…そして『キセキの世代』と同じ、オンリーワンの才能を秘めている」
その評価は的を射ているようで、それでいて逆に少し買い被りすぎなのかもと思うけど。
「今はまだ未完成な挑戦者っス。ただガムシャラにプレイして強敵と戦うことを楽しんでいるだけのね」
「…きーちゃんは、さ。火神が完成して『キセキ』と同格になったら、チームから浮いて火神が変わっていくって言いたいの?」
「、だってそうじゃないスか。浮いた存在になった時、アイツは…今と変わらないでいられるんスかね?」
「―――――」
沈黙が堕ちる。
黒ちゃんが答えを考えているのか、もしくは答えが出せないのかはわからない。けど、その答えは関係無しにあたしは思うよ。
きーちゃんって超お人好しだよねっ!!
そんな事忠告してあげなくたっていいのにわざわざ言ってあげて。そりゃ黒ちゃんの自分自身に対する疑問を聞いたからかもしれないけど、でもね。
不謹慎ににやけそうになった時黒ちゃんの背後に見覚えのある人影が揺れた。
「テメー何フラフラ消えてんだよっ」
バシコッと勢いよく黒ちゃんを叩いたのは言うまでもなく、火神で。
「…よう」
「…聞いてたんスか?」
一触即発っていうのはコレの事なんだろうな、なんて思ったり。
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