体育館右側の水飲み場。
黒ちゃん(海常主将)の情報は正しく、確かにきーちゃんはそこにいた。しかし。

「B型のオレとA型のアイツは相性が最悪なのだよ」

なんで、みーくんもここにいるの。

「アイツのスタイルは認めているし、むしろ尊敬すらしている。だが誠凛などと無名の新設校に行ったのは頂けない」

話している内容はどうやら黒ちゃんについてらしい。険悪な雰囲気だしここは出ていかない方が空気読めてるのかはたまたその逆か。どっちが正解だったとしても、さすがにこの空気の中出て行く程の勇気を残念ながらあたしは持ち合わせていなかった。

「学校選びも尽くせる人事なのにあんな学校で勝とうとしているのが、運命は自ら切り拓くとでも言いたげで気にくわん」

あ、やばい。出て行かないって決めたばっかなのにくしゃみ出そう。でも今ここから離れたらこの大事な話を聞き逃しそうだし…

「ただ…地区予選であたるので気まぐれで来てみたが、正直話にならな」

「へっくしゅん!」

「テメー渋滞で捕まったら一人先行きやがって…なんか超ハズかしかっただろがー!!」

……。今リヤカー付きのチャリに乗って来た子によってあたしのくしゃみはなかったことになんて

「――誰っスか?」

ならないよねー。
大きなため息を1つ、そうして覚悟を決めるとあたしはゆっくりと体育館の影から出た。

「…はろー、きーちゃんにみーくん。そしてリヤカーの子」

「遊木センパイ!?なんでここに…」

「てかこの2人誰だよ真ちゃ……真ちゃん?」

視界に映るのは驚いた様子のきーちゃんと怪訝そうなリヤカーの子。あとは大きく目を見開いて言葉もない程にあたしをガン見するみーくん。

「……もしかして、忘れちゃったとか、ある?」

「遊木…さん?」

あぁ、どうやら忘れられていた訳じゃないらしい。単にここにあたしが登場した事な死ぬ程びっくりしてただけで。
あたしも未だになんで自分がここにいるのかわかんないし、それは仕方ないと思うよ。うん、仕方ない。


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