海常に戻ればすでにゲームは始まっていた。時間から見て2Qが始まってすぐといったところか。コートを見ればちょうどきーちゃんを抜く為に即興であろう黒ちゃんと火神の連携プレイで2点が加算されていた。

「…へぇ」

なかなか、良い点ついてるじゃん。
確かにきーちゃんに黒ちゃんのコピーは出来ないし、火神に集中しなくてはならない今、黒ちゃんに気を配っていれば隙の出来たきーちゃんを抜くくらい火神にも出来るはず。同じ連携プレイでもきーちゃんが抜かれる、要するにヘルプに入ることを前提としたディフェンスなら攻め方も火神一本ではなくなる。
たった1つの黒ちゃんの中継で攻め方が広がる訳だ。

(きーちゃん。………涼太、くん)

黒ちゃんと火神に何を言われたのかは知らないけど、一瞬できーちゃんの雰囲気と目付きが変わった。帝光時代、試合中に時々見せていたあの目。内心気が気ではないながらもきーちゃんのオフェンスを目で追っていれば、そのディフェンスについたのは火神ではなくて、

「なっ…」

「黒子が…黄瀬のマーク!?」

正直話にならない。でも黒ちゃんが考えなしにそんな行動に出るとも思えずそのまま見ていれば、やっぱりそのようで。
一度は抜かれた…いえ、抜かせて火神がヘルプに出て来たかと思えば後ろから黒ちゃんがスティール。

「最早反則技じゃないの」

思わず笑みが溢れた。黒ちゃんの影の薄さで後ろから来られたら反応のしようがない。そのまま誠凛の速攻により再び2点が加算され、少しずつ追い上げていく。
それも束の間、すぐにきーちゃんにボールが渡り、一瞬。切り込むのが無駄ならと考えたらしいきーちゃんが3Pを撃とうとしたけど、それも火神にはたき落とされた。
…平面は黒ちゃんが防ぎ、高さでは火神がカバー。3Pには長いモーションが必要になるから打つ時は打つってすぐわかる。それがわかったら火神が止めるのはそう難しいことじゃないはずだ。
火神が取ったボールを見て日向が走り出し、速攻が出るかと思われた時だった。

「あっ!!?」

「黒子君!!」

「――――っ」

何事かと見ればどうやらきーちゃんの指がちょうど黒ちゃんの目の上に当たったらしい。思わず、息が詰まった。

「レフェリータイム!!」

ざわめきを増した体育館内で、あたしはあたしでも予想だにしなかった行動を取った。


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