入院したからといって少しも衰えていないてっぺー節が炸裂したあと、ようやく練習が始まった。まずはベースのデータから集めようと見学していたのだが、練習がミニゲームに近付けば近付くほど私の機嫌は下降していく。
「ファウルよ、ちょっと火神君!!何やってんの!!」
リコが大袈裟に笛を鳴らすのも仕方ない。下手したら味方に怪我をさせかねないダンクだった。…桐皇まではこんなプレイ見たことなかった。でももともとのスタイルはこれだったのかもしれない。アメリカでやってたくらいだしね。
「強引過ぎよ、もっとまわり見て!!」
注意をするリコに火神はあろうことか舌打ちで返した。なんなのその態度。周りが何も言わないのも気に食わなかった。チームとしての何かがあるのかもしれないけど、でもここで放っておいちゃいけない。
「火神」
「、あ?」
「集合」
ちょいちょいと手を招くと、火神は首を傾げながらも近付いてきた。周りはあたしがこんな行動に出るとは思っていなかったらしく、止めるより驚いて口出しが出来ない様子だ。好都合ね。
「なんか用かよ。…ですか」
「もうちょっとこっち」
「……?」
怪訝そうな顔をしつつも素直に近付いてくる火神が至近距離まで来たとき、ようやくあたしは行動に移った。
「ちょ、遊木!?」
ビンタをかましたのである。
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