「去年の夏からちょっとワケあって入院しててさ、手術とリハビリで今まで休んでたんだ。木吉鉄平、193cm81kgポジションはC。よろしくな」
「鉄平!もう大丈夫なのね?」
「ああ!もう完璧治ったよ。ブランクはあるが、入院中に何もしてなかったわけじゃねぇし」
「何か学んだのか?」
「ああ」
リコもチームメンバーもみんな必殺技的なものを使えるようになったのかと期待の声をあげる。視線の集中したてっぺーはどや顔で言った。
「花札をな」
―――沈黙。
いや、あたしはわかってたよ。どんな入院生活を送っていたか知っていたし、でもそれでもまさかあえてそれをチョイスするとは考えもしなかった。
「だから!?」
「面白いぜ」
「バスケ関係ねぇじゃん!!」
みんなの指摘は最もだ。なんだかあたしまで申し訳なくなって来たじゃん…。ため息つきそうなのをぐっと堪えると、隣のリコがあたしの背中を押して、それからいきり立つみんなの視線を集めるために手を叩いた。
「みんな注目!選手じゃないけど、今日からマネージャーしてくれることになった遊木よ!」
「2年の沢井遊木です、よろしく」
「とうとう逃げられなかったのか、遊木…」
「そんな哀れんだ目しないでよ!」
「いや、俺達はわかってるぞ」
「カントクしつこかったもんな…」
「やだもう、みんなそんなに5倍メニューしたいなら早く言ってくれればいいのに!」
「スイマセンっしたァ!!!」
桐皇戦でもっとテンション下がってるかと思ってたけど、そんな様子少しも感じられない。さすがだな。あたしもこのメンバーに加わって、これから頑張らなくちゃ。
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