結局あたしやみーくんの予想通り、桐皇戦の爪痕は大きく満身創痍の誠凛は残りの試合で力を発揮することはでかなかった。去年同様、決勝リーグ敗退。でも今年は去年と違って失うものよりも得るものの方が多かったと言えるだろう。

「てっぺー、あのね」

話があるの。病室の扉を開きながら中にいるであろうアイツに向かっての言葉だった。しかし。

「あらまぁ、鉄平くんさっきどこか行っちゃったのよ」

中にいたのは同室のおじいちゃんのお見舞いに来たのであろう奥さんだけで、用事のある人間は見当たらなかった。出鼻を挫かれるとは正にこのことである。

「どこに行く、とか言ってましたか?」

「学校ですって。嬉しそうだったわよ」

「ありがとうございます」

笑顔でお礼を言うと、奥さんも可愛らしい笑顔で応えてくれた。おじいさん、早く退院出来るといいですねと言葉を加えて病室を後にする。学校に行くならそう言えばいいのに。あたしの労力を返せ。見つけたらアイツ、絶対シバく。

「体育館、かな」

まだそう遅くないし誰か居残り練やってるはず。明かりがついてたらアイツは絶対行くな。大体の目星をつけて、早足で学校に戻る道を歩く。いなくて少しだけ安心したのは気のせいだと思い込んだ。



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