黒ちゃんがコートに再び戻ると、いきなり超長距離パスからの誠凛のオフェンスが始まった。火神の速攻にはやはり青ちゃんが追い付く。しかし、何度も同じ手で止められているのでさすがの火神もシュートにはいかず3Pラインで構えていた日向にパスを出し、やっとのことで後半初得点が決まった。

「…さすが4番を着ているだけはありますね」

「上手いでしょ、日向」

「撃った瞬間に入るのが分かりました」

「パス出した火神っちもよく見てたっスね!」

黒ちゃんのミスディレクションは効力を取り戻していて、エンドラインからの桐皇のパスをカットした黒ちゃんから水戸部にパスが渡ってまた誠凛に点数が入る。

「やはり黒子が入ると違うな」

「あの影の薄さは厄介っスから」

「………」

でも、黒ちゃんはそれを武器にしてきた。それだけが武器だった。その事実は中学から変わっていないし、そのパスを青ちゃんは火神以上にとっている。敵味方が変わったからといって、青ちゃんには黒ちゃんの影の薄さは通用しないことに変わりはない。そしてそれは、パスも同じ。誠凛では火神しか取れない、黒ちゃんを捕らえていた高尾くんにも通用したイグナイトパスは、いとも容易く青ちゃんにカットされた。

「…だめ」

ワンマン速攻を止めるべく立ちはだかった誠凛だが、青ちゃんは一瞬で伊月、日向、水戸部を抜き去り、最後は火神と黒ちゃんを蹴散らしてブザービーターでダンクを決めた。

「……………」

コートで黒ちゃんを見下ろす青ちゃんが何を言っているのか簡単に想像できる。青ちゃんの瞳は、もう少しも黒ちゃんに期待をしていなかった。



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