さん





初めて二人が会った日から2週間。三度目の放送当番であるこの日に、事件が起こった。
因みに2週間前の当番の日、馨が五分前の放送を行った日の放課後。勿論謙也は光にしばかれていた。目撃者は、多数だそうだ。





火曜日、いつものお時間です。
side.馨





謙也さんと出逢ってから2週間。最初光にそのことを言った時はありえへんくらいの過度な心配されてほとほと困っとったけど、委員やししゃーないやろっちゅうたら渋々やけど納得してくれたからよかったと本気で安心したのもそう昔のことではない。

「こんにちはー、謙也さん」

「ぉ、来おったなー馨ちゃん」

何故か先週くらいから無駄に謙也さんがフレンドリー。別に自分にとって悪いことではないから特に気にはしてへんかったけど、多分理由はあたしが愚痴聞いても光に言うてないことに本当の意味で信頼を得たからではないかと勝手に考とったり。

「先週は光、どないでした?」

「聞いてや!あいつほんまありえへんねんで!?」

ヒステリックに謙也さんが叫ぶのにも段々慣れて来て、今では軽くスルー出来るようになってしまった。ま、あたしとしてはいつもあたしにだけ優しい光が周りにどんな接し方をしているのかが気になって、というか自分の知らない光を知りたいだけなんやけど。(あと謙也さんと仲良ぅ話したいのが半分)

「なんか、ほんま聞けば聞く程申し訳ないですわ…」

「いやいや、馨ちゃんが気にすることやないんやで?悪いんはぜーんぶ財前やし、」

ドンドンドン!!

思わず謙也さんと二人で肩を震わせ固まった。突然大きく叩かれ始めた扉を凝視していると、次いで聞きなれた声が。

「全校放送で俺の悪口言うくらいなんやから、覚悟出来とるんやろなぁ謙也さん!!?」

「全…校、放送??」

「謙也さん謙也さん、放送スイッチ入ったまんまっすわ」

「……………っやられたで」

いやいや、やったやられたの問題ではなくただ単に謙也さんが間抜けなだけなんとちゃいます?変に落ち着いた頭でそう考えながらも言う訳なく、ただ…扉を開けるのは自分の方がえぇんやと思われ。

「謙也さん…開けるしかないんとちゃいます??」

「せ、せやけど財前やで!?聞いとったんやであいつ!」

「あたしが開けますさかい、多分大丈夫やと思います」

「…開けてくれるん?」

不安そうな目で謙也さんがあたしを見る。うわ、ちょー可愛い。てかどんだけ光のこと怖がっとんねん、それはへたれ過ぎやわ。

「謙也さんが弄られるん、目の前では見たくないですし」

「馨ちゃん神様や!女神様や!!大好きやで!!!」

「自分どさくさに紛れて何言うてんねん!馨の彼氏が謙也さんなんぞ許す思うとんのかボケェェェ!!」

あ、光がキレた。

「ひぃぃっ」

「……………」

怯えるんは結構なんやけど、これ開けるんあたしなんやで?そろそろ光の神経逆撫でする発言慎もうとか思わへんの謙也さん。…天然やからしゃーないのか。

「光、今開けるさかいちょっと離れとってくれへん?」

「……おん」

ドンドンドンドン鳴っていた扉が静まる。開けた扉の向こうには、綺麗に笑っている光がいた。うん、あたしの知っているいつもの光に寸分の狂いもない。けど。

「ざ、財前…!これには深ぁぁぁい訳があるんや」

謙也さんには死刑執行を言い渡すようにしか見えないらしい。

「言い訳なんぞ聞きたないわ」

………どこの夫婦喧嘩やねん。





―――――

おわた\(^^)/




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