じゅよん
土曜日馨と1日一緒に過ごせた謙也は機嫌がよかった。逆に休みの日だと言うにも関わらず一緒に過ごせなかった光の機嫌は悪かった。白石はそれを見て笑っていた。
火曜日、いつものお時間です。
何故か昨日の夜から日曜日はお弁当を作ってくれと光に頼まれていた馨は、最近あまり光に構えていないことからくる罪悪感的なものもあり、気合いを入れて朝からお弁当作りに励んでいた。
「おはようさん」
「あ、光。おはよう」
「なんやえらい早いなー…て、弁当作ってくれとんのか」
「おん。最近光に構えてないさかい、拗ねとるやろうなぁ思うて、めっちゃ頑張っとるから期待しとってえぇで」
「……別に拗ねとらんわ」
フイと顔を背けた光に少しからかい過ぎたかと思いながらも思わず口元が弛む馨に気付かず、光は洗面所へと入って行く。
「おかーん、光起きたでー」
「ほな、朝御飯の用意せなあかんねぇ」
のほほんとリビングから顔を出した母親と笑いあいながら朝食の準備をする。いつもと同じように和やかな財前家の朝の様子である。
… … … … …
「ほな、行って来るわ」
「おん。お弁当は後でちゃーんと持ってくから安心しとってな」
「わかっとる」
パタパタと玄関までついてきて見送ってくれる自分の妹相手にまるで新婚夫婦のようだなどと内心思いながら光は壁に立て掛けてあった自分のテニスバッグを持った。
「俺やっぱ家庭的な女が好きや」
「光の基準って毎回あたしやからなー」
「双子やから、しゃーないやろ」
苦し紛れのはぐらかしも馨には通用しないようである。何を隠そう光の家庭的な女子趣味は彼の双子の妹である馨を溺愛するが故に始まったのだ。
「ほら、はよ行かな遅刻するで」
「…おん。なら、また後でな」
「行ってらっしゃい」
閉じられた扉を確認し、馨はお弁当作りに戻るのであった。
―――――
少し短め。
謙也くんを出す余裕はなかった。←
たまには双子で仲良いところも見せなきゃね。黙っ
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