原の素顔



「なまえー」
「うわ、一哉」
「うわって何?」
「何しに来たのさ」
「え、暇つぶし」
「やめてよ、こっちのクラスに来んの」
「なんで?」
「一哉といると目立つ」
「なにそれー」
「でかいイケメンが目立たないわけないじゃん」
「褒めてんの?貶してんの?」
「皮肉ってんの」
「つかイケメンだと思ってたの俺のこと」
「まあ」
「マジかよ、ザキに言ってこよう」
「なんでザキ?」
「おもしろそーだから?」
「ていうかまぁ、その長ったらしい前髪のせいであんまりよく分かんないんだけどね」
「分んないの、この溢れ出るイケメンオーラ」
「あ、私ん家神道だからオーラとかよく知らないわ、ごめんねぇ一哉たん」
「うわ、うっぜー」
「いやうざいのそっち」
「いやそっちだし」
「あっそうだ、じゃあちゃんと見してよ、顔」
「どこの口説き文句?それ」
「一哉、君の顔をきちんと見せて」
「サブイボやべーんだけど」
「ないわぁ…」
「お前のがないわ」
「で?」
「ん?」
「屈んで」
「え、ああ…はい」
「拒まないんだ」
「別に隠してるワケじゃないしねー」
「あ、そうなの?」
「ってか美容院で目の上で切ってもらうと、何か家帰ったら目ぇ隠れてんだよね」
「髪ストレートだからじゃないの、嫌味ー」
「まあ嘘なんだけどね」
「だろうね」
「当たり前じゃん」
「本当はなんなの?」
「昔、お前の目つき不愉快だなとか言われたから」
「は、なにそれ、誰が言ったの」
「中学ん時のクラスメイトとか」
「とか?」
「…親とか」
「………」
「いやなんで黙んの」
「なんか、どうしようと思って」
「いいよ別に」
「どれ、じゃあ私が確かめてやろう」
「そうなるんだ?まあ別にいいけど、けっこーキツイ、この体制」
「ああしゃがんでいいよ、ってかしゃがめ、屈んで私と同じ目線とかマジ無いから」
「えー…まあいいけど、ってか椅子借りんね」
「…うん、これならまあ許す。どれどれ」
「なんかこわい」
「そんなことない。おりゃっ!」
「思いっきりいくね」
「………」
「え、何、何黙ってんの」
「…いや、普通にイケメンだったから何て面白いコメントしようかなって迷ってた」
「なんだそれ」
「でも目つき悪いね」
「ほっとけ」
「バスケ部レギュラーみんなして目つき悪すぎでしょ、康次郎は悪くないけど死んでるし」
「あー、ザキとか悪そうな顔だよな」
「うん、あと花宮は悪人面だし」
「瀬戸は単純に目つき悪いしな、切れ長だし」
「だがそれがいい」
「なまえ、瀬戸贔屓スゴイよな」
「大好きだからね」
「ほんと大好きだな、一方的に」
「そ、そんなことないもん!たぶん!」
「で?」
「え?」
「いつまで俺、前髪あげてりゃいいの?なんか周りの奴らがざわめき出したんだけど」
「珍しいからじゃん」
「古橋が今こっち見てにやっとした、なにあれ腹立つ」
「ほんとだ、腹立つ」
「そろそろおろしていい?」
「だめ。はぁぁもうイケメンだわ、チューしていい?」
「いいけど」
「冗談なんだけど」
「しねーの?」
「するか!」
「自分で言っといて…酷いっ俺のことは遊びだったのか!?」
「やめて誤解されるようなこと言わないで」
「古橋が立ち上がった」
「ほら誤解する奴いた!」
「おい原、今のはどういうことだ?」
「いや冗談だから!冗談通じないな古橋!」
「なまえもなまえだ」
「こいつめんどくせーな」
「ね…」
「聞いてるのか?なあ、おい」

古橋はめんどくさ可愛い
原はチャラ可愛い
20140131
20140207 修正



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