痩せの大食い系男子二人



「…ねえザキ」
「あン?」
「あの二人、今ご飯おかわり何杯目?」
「古橋が四杯で花宮が六杯」
「ねえ、このあとお風呂入って寝るんだよね、それで明日バスケするんだよね、あの人達は。大丈夫なの、あれ」
「いつもヘーキなんだから大丈夫なんじゃねぇの」
「なまえ、おかずと味噌汁のおかわり頼んでいいか」
「はいはい…」
「お前、もしかして合宿とかで一番大変なの飯作ることじゃね」
「ホントにそうだよ!花宮もさぁ、一泊くらいならご飯あるとこか、定食屋を用意して欲しい」
「あ?経費から引くんだぜ?飯代結構高くつくから我慢して作ってろ」
「原因はほとんどあんただよ!」
「はぁ?」
「皆おかわりしても大体二杯だから、茶碗三杯も食べれば良い方なの。おかずも一人前で足りるの。それを何?花宮あんた今おかわり六杯、茶碗七杯も食べてんだよ、ねぇ。おかずは三人前、味噌汁三杯ってどんだけ…」
「おかわり」
「人の!話を!聞け!!!」
「とか言いながらもちゃんとご飯盛っちゃう辺り、なまえってたまに面倒見いいよな。いつも面倒見られてる側のくせに」
「うんうん」
「煩い黙れ原。いや、ていうかね、逆にあんたは少なすぎだからね?」
「なまえ俺より食うよねー」
「あんたが食べないだけだから。ご飯半分でいいよとか、おかず残したから花宮にあげるとか…」
「そういや一哉、昼飯もサンドイッチとかだよな」
「女子か!」
「えー、でもお腹いっぱいになるんだし仕方ないじゃん」
「子供か!あーもーザキがツッコミの仕事しないから私の仕事増えるんだけど!」
「いや、そもそも俺の仕事とかじゃねーし!」
「ごちそうさま」
「なまえー古橋終了だってー」
「えっほんと?よかったぁ、朝の分の米まで無くなるところだったよ…」
「ん、美味かった、ありがとう」
「ぶっ」
「ん?」
「…いや、うん、なんでも…おいっ、美味しかったなら、うん、よかったけど…」
「どうしたんだ」
「いや、なまえ普段から褒められ慣れて無いからじゃねー?」
「本当に美味かったんだから、褒めたっていいだろ」
「………」
「やめてあげて古橋、なまえが限界」
「普段どんだけ褒められてないんだこいつ」
「なんか可哀想になってきたな」
「おいなまえ、味噌汁おかわり」
「空気読めない奴いたよ!」
「…はい、これで最後だから」
「ん、ありがとう」
「!?」
「うっわぁ何あれ、ちょっと微笑んだよ花宮の奴。絶対今までの流れ見てた上でやったよな、今」
「やめてくれ、ああなったなまえが一体誰のところにくると思ってんだよどいつもこいつも」
「健太郎のところだろ」
「話聞いてたのかよお前」
「まぁな。…ごちそうさま」
「えっ、あっ、うん。うわ、流石、夜は食器大量だねぇ」
「ザキ手伝ってやれよ」
「何で俺だよ?」
「あ、それなら助かる〜」
「…俺洗うから、じゃあお前拭けよ」
「えっいいの?水仕事だよ」
「手荒れるだろ」
「うわ、ザキが男前に見える呪いかけられた」
「呪い!?素直に褒めろよ!そこは!」
「あ、そういえばこの後、部員はお風呂だよね?ザキ入るの遅く…」
「気にすんな。いいから、早く片付けんぞ」
「はぁーい」
「…珍しくザキが上手くやってる、何あれ、超怖いんだけど。手伝えばとか言わなきゃよかった」
「いいんじゃねえの、あいつだってたまには」
「まあそれもそっかぁ。な、花宮?」
「ニヤニヤすんな。こっち見んな、キモい」
「ひどっ」
「俺より康次郎にかまってやれ、その辺りの話しは」
「ちょっ古橋…手伝うなら手伝って来ればいいだろ、何行こうか行くまいか構えて立ってんだよ」
「…構えてない」
「めんどくせー奴だなお前も」
「本当だな」
「あと花宮も」
「あ゛?」
「なんでもねーよ」

とある二泊くらいの合宿にて、めんどくさい大食い二人がひたすらめんどくさかった。
20140130



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