花火と祭と浴衣



「ねえ、お願いがあるんだけど」
「あ?」
「なんだよ」
「下らない予感がする」
「聞く前から酷すぎやしません、ねぇ?ちょっと」
「で、なんだよ」
「…祭に行きたいです」
「はぁ?」
「祭に行きたい」
「祭って、今日の夜の?まあ確かに部活は早く終わるけど、え、なまえ友達いねーの?」
「失礼な!いるよ?いるけど、みんな彼氏と二人で行くんだって。バカにされたの、なまえちゃんは彼氏いないんだもんねーかわいそうでちゅねーって」
「ああ、で、彼氏のいないお前と寂しく祭を回ればいいのか」
「その言い方イヤなんだけど」
「知るかよ、事実だろ」
「あーあ、健ちゃんがいればなぁ…」
「あいつ部活のあと寝るしな」
「そうなんだよね、外出ってなると、ちょっと無理じゃん?」
「ちなみに俺は無理だよ」
「えっ、原とか一番暇そうじゃん!」
「なんかクラスの奴らに誘われたんだよねー、ザキと。めんどいけど、行くって言っちゃったしー」
「お前らリア充か!」
「男しかいないけどねん。ま、そーゆーワケだから、花宮と古橋と行ってくれば?」
「うーん…」
「お前俺らの予定も聞かずに何勝手言ってんだよ」
「うっそ、花宮予定あんの?」
「ねえよ」
「だよな」
「なんで見栄はったの今!え、古橋は?」
「特に無いけど」
「無いけどなんだ、ん?私とは歩けないってか?え?」
「怖いぞ、主に顔が」
「じゃあ二人は今日の祭に参加ってことで、いいでしょ?」
「何がじゃあ なのか知らないけど、とりあえず了解。花宮はどうするんだ」
「あ?ああー…行く」
「よかったねなまえ、両手に花じゃん」
「両手に花と橋だよ」
「なんだよ橋って…ああ古橋ってことか。いや、そういう意味じゃねーから。まあ楽しんで来れるといいな」
「うん!」
「…そんなに楽しみにするもんか?」
「最後の花火じゃないのか」
「ああ、なるほどな」
「なに着て行こっかなー」

20140127



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