サンタさん



「サンタさん信じてる?」
「は?急になんだよ、信じてないけど、何、もしかしてなまえサンタとか信じてんの?」
「ちがうし!」
「なに小学生みたいな会話してるんだ」
「あ、古橋…と、花宮。あのさ、サンタさんって信じてる?」
「信じてはないな」
「サンタなら俺だけど」
「花宮はサタン」
「死ねバァカ。で、サンタがなんだよ」
「いや昔さぁ、私、父親がサンタって聞いたのね」
「ありがちな話だな」
「俺も言われたー」
「でさ、そこで幼い頃の私は思ったんだけど、じゃあ私は将来サンタにならなきゃいけないのか?って」
「跡継ぎする気になったのか、そこは黙ってショック受けとけよ」
「でも、サンタさんはオジさん、つまり男の人しかなれないわけ」
「まぁそうだよねー」
「私の代でサンタ業を営んでいくには、お婿さんを貰わなきゃいけないのね?わかり?」
「え、で、今からお前の婿探しをするってことか」
「ちっがう」
「ああ、その話か…」
「うおぉ瀬戸お前起きてたの?」
「うっすらな、うっすら」
「なんだよ健太郎、お前知ってんのか、今の話」
「まあ。小さい頃、早く婿を貰わなければサンタ業で父親や祖父が倒れてしまっては困ると心配になったなまえが、婿をスカウトしたんだよ」
「スカウトっつか告白じゃね?」
「いや、スカウト」
「あ、それが瀬戸なのか」
「古橋正解。当時隣に住んでた俺がサンタにスカウトされた」
「ちなみになんて?」
「健ちゃんはサンタさんに向いてると思うから私のお婿さんになるべき!とかなんとか」
「言った?」
「たしかに私の言葉」
「今でも忘れない、程よくおバカで可愛かった頃のなまえ…」
「え、ちょ、今は!?」
「ノーコメント」


20140125



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