花宮んち



花宮のお家は広いです。
目黒区の住宅街にある二階建ての一軒家なのですが、お母さんは仕事人間ということで、あまり家にいません。お父さんは……社長さんだったらしいのですが、早くに亡くなってしまったとか。

「…で、なんでまた俺ん家だよ」
「集まるのにピッタリじゃん」
「いつもみてーにザキや健太郎のとこでもいいだろうが」
「いやお泊りは花宮んちでしょ」
「つかマジで泊まんのかよ」
「うん」
「いや、なまえ、なんでお前もいるんだよ」
「健ちゃんいるならいいっておばあちゃんが」
「まじかよ」
「おやつ買ってきた」
「俺飲み物」
「お前らなぁ」

まあ、そんなの、男子高校生達が集まるには最適の場所というわけです。
なまえは女子だけど。

「キャプテーン、お腹すいたぁー」
「何微妙に媚売ってんだよ」
「あ、一応食材は色々買ってきたんだよ。ほら、カレーの材料とか卵とか麺とか、あとプラスアルファ」
「無駄遣いすんなよ」
「今日の花宮面倒見いいな」
「ザキが働いてないからねぇ」
「は?俺?」
「ザキが大人しいと原に突っ込むのが花宮しかいなくなるじゃん」
「あとなまえに反応する人」
「健ちゃんもいるもん」
「正直たまにめんどい…」
「ひどいっ」
「冗談、冗談だって」
「で、花宮、そろそろ昼食にしないか」
「ああー…まぁ、そうだな」

頭をがりがりと掻いて反応する花宮。
自宅にいると多少雰囲気が違う気がして、なんだかレアである。

「じゃあ仕方ねえ、昼飯は俺が作ってやろう」
「まじかよ、花宮料理も出来んの?」
「ぱねぇなオイ」
「うるせえよ2バカ。で、リクエストとかあるか、何か」
「えー、リクエストしていいの?じゃあ私からはオムライス」
「オムライスか」
「じゃあ俺やきそばー」
「親子丼的なモンが食いたい」
「蕎麦とかあっさりした麺類」
「なんでもいい」
「お前らなんで注文バラバラなんだよ!健太郎を見習え、これが模範解答だ」
「えー」
「じゃあオムライスでいい」
「いやもうお前らには強制的に俺の特製ナポリタンだ」
「どうしてそうなった」

20140121



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