誠凛高校のカントク



「あっ」
「…うわ」
「うわって何すか。ええーと確か誠凛の…」
「監督の相田リコです。どうも、霧崎第一のマネージャーのみょうじなまえさん」
「他校のマネージャー覚えてるとかすごいねぇ、いやまぁなまえでも何でも好きに呼んで下さい」
「去年の試合では大 変 お 世 話 になりました」
「笑顔怖いよ」
「怖くもなるわぁ!」
「けっこーノリいいんだ、意外」
「う゛…」
「私服かわいいねー」
「それはどうも、って言うか、まさかこんな時に霧崎の人と会うなんて…はぁ」
「そんなあからさまにテンション下げないでよ、意外と傷つきやすいんだよ私!」
「知るかっ!」
「もー」
「…というより、はぁ…」
「え、なにさ」
「いえ…みょうじさんが思っていたよりずっと嫌味臭くなくて、拍子抜けしたのよ」
「私は嫌味臭そうに見えてたのかい」
「そりゃそうよ!あの霧崎第一高校の一軍のマネージャー、しかも影で花宮真の助手みたいな真似してるって言うんだから、尚更ね」
「えっ、何で知ってんの!?」
「ああ、ううんと、他校にちょっとイヤミなマネージャーがいてね…」
「うんまぁ、とりあえず誤解の無いよう言っとくけど、私は別に、特に何もしてないよ。花宮に言われて他校の情報収集してるくらいで」
「どこらへんに誤解があったのか教えて欲しいわ」
「え、いや、あれだよ」
「あれって何よ…はぁ。まあ、ごめんなさい、いいのよ別に、みょうじさんに非が無いのは分かってるから」
「なんじゃそりゃあ」
「なんか八つ当たりみたいな感じになっちゃった」
「いいってことよ」
「まぁ…私はともかく、ウチのチームや他校は、そうは思ってないかもしれないけど」
「知ってまぁす、公式戦だろうが練習試合だろうが、霧崎第一の一軍マネ って目で見られるから。いやま、合ってるんだけどね」
「そうね」
「相田ちゃん」
「相田ちゃん!?」
「去年のことは本当に、うちの奴らがごめんね」
「…知ってたの」
「うんまぁ、あれから試合に出てないっていうし、一応私、情報集めが日頃の仕事だからね」
「花宮真は、知ってるの?その、木吉の足のこと」
「教えたよ」
「…それで花宮はなんて?」
「そうか って言われた」
「…そう」
「花宮もね、人格歪んでるからね、ごめん。朗らかな感じの木吉鉄平のことは、特に気に食わないって感じで」
「人格歪んでるってのはよくわかるわ。それで鉄平は花宮を嫌ってすらいない、っていうのが、一番疑問なのよ」
「まじかよ天使か」
「天使って…あ、もうこんな時間」
「うわ、ほんとだ」
「なんだか引き止めるみたいになってごめんね」
「引き止めたのはむしろこっちのような気もするけど」
「まあいいわよ細かいことは、また今度会う機会もあるでしょ」
「そだねー」
「一応、これ、はい。私の番号」
「あ、うん。ありがとう、送っとく」
「それじゃ」
「あっ!相田ちゃん!」
「ん?」
「木吉鉄平には、ほんと、お大事にって言っておいて貰えたら助かる。…いや、かえって嫌味臭くなるのかな、これ…」
「…ふふ」
「なぜに笑う」
「いいわよ、言っとく!あと鉄平には嫌味を言っても通じないわ」
「ああ…なんかわかる。それじゃあ」
「うん、またね」


リコさん可愛いよ。
20140120



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