わかってくれないなまえさん



「と、いうことがあったんだが」
「…」
「まさか俺自身あんなに考え無しに動くことがあるなんて思いもしなかった」
「え、で?」
「なまえの幼馴染の瀬戸なら何かわかるかと思って「何かって何」
「色々だな」
「ざっくりしすぎ」
「すまん。まあなんと言うか、あそこは、むしろそれでいい っていう本質を見抜くべきじゃないかと思ったんだ」
「そんな高難易度な技をなまえに求めること自体間違ってるんじゃない」
「やっぱりそうだろうか」
「なにしてんだ」
「花宮」
「珍しいな、康次郎がこっちに来るなんて、何があったんだよ」
「いや何でもな「古橋が抜けがけしたって話」
「はぁ?」
「瀬戸、その言われ方は耳に余るぞ」
「いちいちホクロ押すのやめて」
「なまえのことか?」
「! なんでわかるんだ!」
「お、古橋の表情が動いた」
「同じようなことを思ってるからじゃねえの」
「? ええと、花宮がか?」
「ああー…まぁいい。あれだろう、あわよくば ってことだろ。難しいか」
「いや、わかる」
「だろうな」
「花宮も古橋も、なまえに関してそんなこと考えてたのか?」
「お前だって同じだろ、健太郎。幼馴染っつー前提が無ければ、さぞ堂々と出来たんだろうな」
「いや俺はねぇよ、お前らだけだよ」
「冗談だ」
「なぁ花宮」
「ん?」
「山崎や原も、なまえに関して、そんなことを考えてるんだろうか?」
「ザキはむしろ本望って感じだよな」
「ふはっ、そうだな。一哉は…わかんねぇ、あいつバカだから何考えてんだか」
「そうか…」
「…古橋、お前もしかしてとは思うが、恋愛経験ねぇのか」
「無い」
「マジかよ」
「というか、花宮はなまえのことが好きなのか?」
「んな安直な考え方出来るか、知らねぇ」
「じゃあ、俺は結局なまえのことが好きなのか?」
「それこそ知らねえよ、お前のことだろ。そうなんじゃねぇの」
「…少し冷静に考えることにする」
「そうしろ」
「帰り道が楽しくなるな」
「…何もしてくれるなよ、瀬戸」



20140119



前へ 次へ