身体測定



身体測定。
年に数回行われるうちの今回は、身長、体重の他に胸囲や視力等、測定する項目が沢山ある日だ。
そのため、ある一日を使って大規模に行われるのだが、これがまた面倒臭い。
記録用紙を片手に、ジャージで、校内各箇所に設置された測定場所を移動する。
学年毎に、何時から何処を開放、というような形式なので、中々に混み合うので大変だ。
クラスごとにしたらいいのに、と思う者もいるが、他のクラスの物と交流を深めることも出来るというので、こんな形式らしい。


「なまえー、お前何センチ?」

原一哉、みょうじなまえを発見。

「言わん」
「なんで?」
「少なくとも原より10cmは小さい」
「見りゃわかるんですケド」
「そういう原は?」
「188cm」
「でか」

もう180超えたらでかすぎだよ。
そう思ったが、よく考えたら霧崎第一の男バスはだいぶでかい奴ばかりだということに気が付いてしまった。

「なまえ、何センチだった?」

瀬戸健太郎、みょうじなまえを発見。
原一哉を含め合流。

「健ちゃんまで聞く?なんなの皆して、私を見つけたら身長を聞くルールでもあるのかい」
「いや、見つけたからなんとなく」
「まず自分からどーぞ!」
「190cm」
「なぁんだ伸びてないじゃん。2メートルまであと10cmだね」
「それは無理」
「えー」

どうせなら2メートルになっちゃえば、バスケするにも有利なのに。
そう思ったが、いざ健太郎の顔で2メートルともなれば怖そうなので、言うのはやめておいた。

「あっ!…よ、よぉ、なまえ」

山崎弘、みょうじなまえを発見。
原一哉、瀬戸健太郎を含め合流。

「あ、ザキ。よっ」
「捕らわれた宇宙人みたいだな」
「ふざけんな」
「悪い悪い」
「ザキだけだわ」
「は?何がだよ」
「身長聞いてこないの」
「聞いた方がいいのか?」
「やめて」

なんだかザキの身長を聞く機会を逃してしまった。くそ。
でも、どうせこいつも原と変わらないくらいなんだろうと思ったら、聞く気が失せた。

「…ん、なまえ?に、瀬戸と原か」

古橋康次郎、みょうじなまえを発見。
山崎は無かったことに、合流。

「おい!古橋てめぇ今俺のこと無かったことにしただろ!?」
「ああいたのか山崎!」
「そんな時ばっか表情いらねーよ!」
「古橋あんた身長何センチなの」
「186cmだけど」
「バァーカ!皆して180とか!!」
「そういうなまえは」
「古橋より20cmは小さいよ」
「見ればわかるな」

なんだよちくしょうと喚いてみるも、動かない事実なので、文句は言えないところがなんとも歯がゆい。

「ふはっ、部活でもねぇのに何固まってんだよ、お前ら」

花宮真、みょうじなまえ率いる集団に遭遇。

「野生の花宮が仲間にしてほしそうにみている、どうする?」
「いち、たたかう。に、むしする。さん、にげる。さあどれ」
「仲間にいれる選択肢はねぇのかよ」
「花宮鋭い、さすが悪童」
「その呼び方やめろ、マジで」
「あ、身長何センチ?」
「179cm」
「きたこれ」
「はぁ?」

今まで180いくつという数字ばかり聞いてきたため、170いくつという数字が堪らなく嬉しく感じる。
それでも、あと1cmで180に届く数字なのだが。

「つか、そういうお前は」
「それ聞く?」
「こいつ、散々俺らには聞いといて、自分の身長言わねーんだよねー」
「バカにされるからやだ」
「バカにしてるんじゃない、バカなんだよお前は」
「なにそれ」
「で?」
「え?」

この時、なまえは身の危険を感じた。
平均身長185cmくらいの男子バスケ部レギュラーに囲まれるという恐怖に。

「なんなら体重でもいいけど」
「冗談じゃない!」
「で?」
「…う」
「いくつだよ」
「…ひゃ、ひゃく・・…」
「はっきり言えよ」
「ひゃ、160cm弱だけど!平均的だけど!?何か文句あるか、ええ!?」

逆ギレだ。逆ギレ。
口々にそういうが、これは逆ギレではなく正当にキレていると主張したいところだ。

「思ったよりでかいな」
「120cmくらいかと思った」
「バカにしすぎだろ、せいぜい150cmくらいだ」
「160弱って言ってんじゃん」
「弱ってのが怪しい」
「うるさい」



でかい奴らには平均女子もちっちゃく見える。よくあること。
20140118



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