萌え袖



「あ」
「なに一哉」
「萌え袖じゃん」
「もえそで?」
「そのカーディガンの袖、指ちょっとしか出てないじゃん。萌え袖」
「って言うの?」
「そうそう」
「へー」
「あざとさの代名詞」
「あざとさって…袖長いだけだよ」
「なまえにぴったりじゃん」
「私があざとい時なんてある?」
「アリアリ」
「マジか」
「自覚してなかったんだ」
「てか、花宮もカーディガン長いって言ってこんなんなってたよ、この間」
「…花宮が萌え袖?何それ怖っ」
「まだ背伸びると思って大きいの買ったのかなぁ」
「なまえ殺されるよ」
「大丈夫だよ」
「いや殺されるって」
「本人いないとこなら何言ってもいいんだよ」
「いや、いるから」
「はっ?」
「後ろ」
「………」
「……………」
「…おはよー花宮」
「萌え袖で悪かったな」
「いや悪かない、悪かないよ?」
「うるせーバァカ」
「拗ねないでよ」


20140220



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