猫被り



「ああ、みょうじさん」
「…なんですか、花宮くん」
「よかったら仕事を頼まれて欲しいんだけど…駄目かな?」
「駄目です」
「そんなこと言わずにさ、みょうじさんにしか出来ない仕事なんだ」
「嫌です」
「ね、みょうじさんはバスケが好きだろう?僕もバスケが大好きなんだけれど、あいにく、監督と部長としての仕事が多くなりすぎて、手が回らない仕事があってね」
「そうなんですか」
「これの件なんだけど…」
「なるほどね、嫌です」
「もちろん、タダでとは言わないよ」
「えっ?」
「こんな重大な仕事を大量に任せるんだから、それはそれなりの報酬くらい用意するつもりさ」
「え、え?」
「そうだなぁ、何がいい?」
「ハーゲンダッツ一ヶ月分」
「馬鹿じゃねえの」
「えっ」
「それで、何がいい?」
「…じゃあパフェ食べたい」
「そうか分かったよ、飲もう。パフェを食べに僕とデートだなんて、欲張りだなぁみょうじさん」
「ごめんデートどっから出た」
「うるせーよ黙ってろ」
「えええ理不尽…」
「まあ冗談だよ」
「ていうか、これクラスまで来て話すことだったの、花宮」
「まあな」
「もう猫被んのやめろ!」
「そうする」
「気持ち悪いもん花宮の猫被り…」
「うるせーな貴重なもん見れたと思って喜んどけバァカ」
「ちょっ」

20140218



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