ザキくんの苦悩



TAKE1
『登校時』

「あっ、ザキおはよー」
「おう」
「ねえねえ見て、今日ちょっとだけ髪くるくるにしてみたんだよー」
「(ほんとだ可愛い…)」
「似合う?」
「(似合う、似合うって言え、俺)」
「もー、反応悪いなぁ」
「に、似合ってる…すげぇ似合ってるって」
「無理しなくっていいよ」
「無理なんてしてねぇよ!(可愛い、可愛いって言え、俺!勢いで好きだって…)」
「あ、チャイムなるから行くね」
「えっ」
「じゃね〜」

TAKE2
『昼休み』

「あっザキ、今日よく会うねー、ってかどしたの?」
「(ちょっと来てくれ だぞ俺、呼び出すんだよ、呼び出し…)」
「用事?」
「古橋呼んでくれ」
「りょーかーい」
「(呼び出すのは古橋じゃねーよ、なまえだよ!なにしてんだよ!)」
「おーい古橋康次郎殿下ー」
「は?殿下?」
「とある事情から、今日から康次郎のあだ名は殿下になりました」
「マジかよ、おい殿下、早く来い」
「そのあだ名やめてくれ」
「教科書読み間違えた殿下が悪いんだよ。沈下を殿下って…ぷぷぷ」
「ぶっ!よ、よう殿下…」
「やめてくれ、俺は早く忘れたいんだ」
「(あれ、なんか流れた)」

TAKE3
『放課後』

「(今度こそ、今度こそ言うんだ、俺!)」
「ザキ、今日掃除は?」
「休みの週なんだよ」
「へー、じゃあ一緒に部活行こ」
「おう」
「私も掃除ないんだー」
「(チャンスは放課後だけだぞ、おい、逃すなよ、おい)」
「あっ」
「あっ!?」
「そんな驚かなくても」
「…んで、なんだよ」
「いや、なんか今日、ザキ変だなぁって」
「は?」
「反応鈍いっていうか、あんまりうるさくないっていうか…ぼーっとしてるよね」
「(ばれてた)」
「なんかあったの?」
「な、何もねーよ」
「うっそ」
「ホントだって」
「心配なんだけど」
「…マジ、何もねーから心配すんな。まあ、ありがとな」
「うーん、それならいいけどさぁ」
「おう」
「いつものうるさいザキの方が、ザキらしくて落ち着くよ」
「………」
「ね?」
「(だから嫌なんだ、こいつ…)」
「えっ、どしたの、また」
「…なんでもねぇ」

可愛いとこって、こういうとこだよな、って。
せめて本人に言えたら苦労はしない。
まあ、告白は、また今度にしよう。
らしくないと思われるのもアレだし。
…別に、ビビって出来ねえわけじゃねえ、断じて。


夢主に告ろうとして失敗するザキ というリク(小鳥遊様)
20140218



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