放課後お菓子交換の儀



「かーずや」
「ハイ」
「やった、ありがと。じゃあこれー、ハイ。秋冬限定出荷のラムレーズンだよ、これ高かったから味わって食べてね」
「お前まーたファミマ?俺はセブンで買えるサツマイモチョコチップが食いたいんだって」
「食べたいなら自分で買えばー、そしたら私がそれを摘まむから」
「えー…」
「だって私セブン行かないもん」
「あああ〜、どーしても食いたい、今日食いたい。部活終わったらぜってーセブン行く」
「いってら」
「なまえも行こ」
「いやだから私セブンにはお菓子買いに行かないんだってば」
「いーじゃんついでに。ほら、このキットカットあげるからさ」
「う…」
「二袋」
「よしセブン行こう」
「じゃ、ラムレーズンも一個もーらい」
「ああああ!ちょ、それ四個しか入ってないのにい!」
「四個ならいーじゃん、半分」
「ダメ!帰りに健ちゃんと康次郎にもあげようと思ってたの!」
「残り二個だよ」
「私だって食べたいもん!」
「あーいいよ、じゃあ帰りファミマも寄ってもうひとつ買えば」
「…奢れ」
「じゃあガム買って」
「わかった。あ、ガムと言えばね、イチゴミントなる板ガム持ってるよ、私。いる?」
「いるいる〜、じゃ、このサラダ油味のチップスあげる」
「なにそれマズそー…でも気になる」
「ハイあーん」
「あーん」
「意外とイケんだって」
「ほんとだ、ちょっとこれ帰り買ってこっと。どこのやつ?」
「セブン」
「…くっ、仕方ないか…」
「お前どんだけセブン嫌いなんだよ」



「で、いっつも思ってたけど、アレは何の儀式なんだ?瀬戸」
「ああ、放課後お菓子交換の儀 らしいよ。なまえと原によると」
「羨ましい」
「え、ああ、うん」
「俺もなまえにあーんしたい」
「お菓子買ってやれば」
「恥ずかしくて出来る訳が無い」
「大丈夫だ古橋、お前は結構元々恥ずかしい奴だって」
「なんだそれは」
「とりあえず帰り一緒にセブン寄ってお菓子買って食わせてやれって」
「…がんばろう」
「お前、ほんとにいつもの行動は天然でやってんだね」
「え?」


このあとラムレーズンをあーんされる
20140217



前へ 次へ