ザキにイタズラを仕掛ける



「ザキ〜」

部活の休憩中。
暇なのでとりあえず一番反応が良さそうなザキにイタズラをすることに決めた。
そのイタズラというのは、まぁ単純。
ただくすぐるというもの。
手始めに両手を冷水で冷やして、後ろから首へ手を回す。

「………」
「ねーねーザキぃ」
「……………」
「…つまんない」

反応はまるで無い。
このやろ、くすぐりでなくて抱きつきの刑に変更してやろうか、ちくしょう。
私に抱きつかれる屈辱ね。
っていうのは冗談で、次、背中。
からの脇腹。
指を立てて、上から下にススススとゆっくり移動させていく。
やはり反応は無い。
つまんない。

「ねえザキ、くすぐったくないの?」
「………」
「ねーザキってばぁ」

しかもガン無視決め込んでる。
なんだちくしょう。
こうなれば、残りは太ももしかない。
人差し指から小指までの四本を優しく立てて、膝からゆっくり、腿の付け根に移動させる。

「っ!」

お、ようやく反応を示した。
にやにや。
顔を見れば真っ赤になって、プルプルと震えていた。
何このでっかいワンコ。
めっちゃかわいいんですけど。
全く、あの花宮でさえくすぐられたらビクッてなるのに、一切効かない奴がいるのかと思ってハラハラしたよ。

「お、お前はさっきから、何を…」
「そっかあ〜ザキは足が弱点なんだね」
「弱点って何だ!つかマジ、やめろ!」
「くすぐったがらないからつまんなかったよ、いやぁ、ふっふっふ、楽しい楽しい」
「や、めろバカっ!」
「うわっ」

調子に乗りすぎた。
くそ、ザキめ、やり返してきやがったよこいつ!

「ちょ、やだっ、あはっ、あはははははっ!だめだって!」
「お前めっちゃくちゃ弱えな、オラっ」
「ひぃっ…ちょ、だめだめっ、うははっ」

こうなったら最後の手段。

「やめてザキっ…」
「は?やめねーよ!倍返しだ!」
「あんっ、あ、ちょ、やだぁっ…助けて一哉!」

一瞬、ザキの動きが止まる。
ちょっと横で康次郎が吹き出したけど、まあ、いいでしょ。
花宮は本気で冷たい視線を送ってくるし、健ちゃんなんてため息ついてるからね。
そうなれば助けてくれんのは一人なわけで。

「なにしてんのザキ」
「いっ…げ、ゲンコツかよ!?おい!」
「当たり前だし」
「ありがとう一哉、やっぱり私の白馬の王子は一哉だったんだね」
「やっぱりってなんだよ、俺イヤだよ、なまえが姫とか」
「ひでぇ」
「俺のセリフだし。つーかザキ、お前マジ反省しろよ」
「先にやったのなまえ…」
「お前がやったら襲ってるみたいでマジ不快だから」
「ちょ、なんだよそれ!?」

助け出されたはいいけど、結果的に、なんだかやっぱり可哀想なことになってしまったザキには、少しだけ申し訳ないと思ってるよ。
いや、うんまあ、少しね。


じゃれる
20140216



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