とある昼飯



「もしもし健ちゃん?」
『もしもし健ちゃんですよ』
「えへへ」
『どしたのなまえ』
「おじいちゃんは麓義嗣さんと囲碁を打ちに、おばあちゃんは村田タマエさんと畑を弄りに行きました」
『暇なんだね』
「わかる?」
『それ以外何があるのさ』
「あついねー」
『暑いね』
「今日のお昼は冷や麦だよ」
『来いってことね』
「あっわかる?」
『催促以外無いよね』
「えへへぇ」
『待って、今行く』
「40秒で支度してね」
『むしろ40秒でなまえの家の居間まで行けるんだけど』
「そりゃそうか、あっ今靴はいてるの?」
『音聞こえる?』
「健ちゃん、きちんと鍵閉めなよ」
『あ』
「物騒だなぁー」
「おーいなまえー」
「はっや」
「隣も隣だからね、おじゃまします」
「冷や麦もう出来てるよー」
「早いな」
「二人前」
「…俺が来るの確かめる前から茹でてたのか」
「どうせ来るよなって思って」
「まあいいけど、あ、なまえ、ワサビじゃなくてショウガで」
「あるよ、はい」
「準備いいな、どうも」
「何年一緒に冷や麦食べてると思ってんのさ。はい天かす」
「…流石としか言えないな」
「ご飯もいるよね?」
「ああ」
「どーぞ。っていつ見ても健ちゃんのこの食べ方は慣れないねぇ、麺にご飯って」
「ラーメンとチャーハンみたいなもんだって」
「冷や麦と白米は話が違くない?」
「変わんないよ」
「そーかなぁ」
「そうだよ。ああそうだ、午前中は勉強したの?」
「寝てた」
「部活休みだと何もかもサボるよねなまえ」
「ばれてた?」
「ばれてる、お昼が冷や麦って時点で」
「たまにはいいじゃん、冷や麦だって食べる時は涼しいけど、茹でる時は熱いんだよ!?」
「最もだね、あ、おかわり」
「はい」
「ありがとう。じゃ、午後から勉強な」
「健ちゃんだけしてなよー」
「俺も午前中寝てたんだよ、一緒にやろうか」
「…しっ、仕方ないなあ?」
「なまえもちょろいよね」
「そんなことないよ」
「あるよ」
「むう…」
「ごちそうさま。じゃあ勉強道具とってくるわ、なまえも準備してなよ」
「わかりましたぁー」

とある夏のお昼ご飯
20140211



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