撫でてみる




「瀬戸ってさぁー」
「なに」
「お前なんかいっつもなまえの頭撫でてるよな、クセなの?それ」
「クセだよ」
「私は嬉しいよ?」
「まあ、そういうこと」
「どういうことだって」
「撫でて撫でてっていう心の声が聞こえてくるような気がして、つい甘やかしちゃうんだよ。なんか…犬の相手してるみたいな」
「つってる間にもう撫でてるな」
「私、ペットみたい」
「大差なくね?でも俺が撫でようとすると威嚇されるんだけどー」
「やっ」
「ほらな?」
「なんでだろうな」
「ザキやってみ」
「えっ!?」
「大丈夫だって、そっと、そーっと触ってみ」
「なんか言い方が嫌だな!…なまえ、撫でるぞ」
「………」
「大人しいな」
「でもちょっと嫌そうな顔してんだけど…古橋は?」
「ん」
「………」
「また大人しいね」
「しかもちょっと嬉しそうだぞ」
「ちょっと嬉しいからね」
「そうか?」
「お前まで嬉しくなってんじゃねーよ古橋」
「え、なんか俺だけー?軽くショックなんだけど。花宮もなまえ撫でてみてよー」
「…なまえ、頭貸せ」
「やだ」
「はぁっ!?」
「ぶっ」
「まさかの やだ 頂いたな」
「ふざけんなよバカ、いいから一回撫でさせろ」
「いーやー!」
「暴れんな!」
「…なんか花宮、ムキになってね?」
「なってるな」
「なんかなまえが花宮に襲われてるみたいになってるけど、いいのかあれ。なまえ転んだぞ」
「いったーい!擦りむいた…」
「!?っ、大丈夫か」
「花宮のせいだ…いたい…」
「わ、悪りぃ」
「うわー、花宮が焦ってるー、かーわーいーいー」
「うるせーよ一哉黙ってろ。つーかおい、なまえ、泣くことも無えだろ」
「ぐす…」
「悪かったって、おい」
「…ふふ」
「ああ?」
「ふふはははっ!なんて泣くわけないじゃんバーカ!撫でさせないもんね!バーカバーカ!」
「てめっ…死ねバァカ!」
「あ、なまえ逃げた」
「あいつらたまに小学生みたいになるよなぁ」
「そーゆー瀬戸は母親みたい」
「せめて父親にして」

無邪気宮くん
20140204



前へ 次へ