山崎くんと恋と友情



「愛ってなんだ」
「…はぁ?」
「恋ってなんだ」
「さぁ…」
「ザキ!それでもお前は男かぁぁ!」
「いや意味わかんねえし!!」
「はぁ…」
「何で俺がため息をつかれてんだよ!?」

なんか疲れてくるわお前と話してると、なんて言いながらも優しいザキは話し相手になってくれるから大好き。
健ちゃんのが好きだけど、まぁ原よりかは幾らか好き。
ていうかキワモノ揃いの男バス一軍の中だったら割とマジな話、ザキは癒しサイド。
まあ一番の癒しは健ちゃんだけど。

「よくさぁ、相手に抱いてる感情が恋心なのか友だちとして好きなのかわからないって話、聞くじゃん?」
「俺は聞かん」
「聞くじゃんね?」
「ああ聞く聞く、それで」
「いやもうほんとマジでわかんないよね」
「終わりかよ!?話の展開なさ過ぎだろ、お前思いつきだけで喋んのやめろや!」

今日クラスの子がそんな悩みを話していたので、つい気になってしまった。
ので、ザキにぶちまけることに。
なんてこったい。

「例えばさ、男バスレギュラー5人とも、私は基本大好きなわけよ?」
「基本って、そうじゃない時もあんのか」
「むしろ時々大好きの方がニュアンス的には近しい。まあそれは一先ず置いといて」
「ああ」
「でもさ?実際その好きって、友情なんかなんなのか、考えて過ごすことって無いじゃん?」
「…」
「極端な話、ザキ。あんた私のことを友人として好きなのか、恋愛対象として好きなのかなんて、考えたことないでしょ?そういうことだよ」
「つーかまず俺がお前を好いてる前提からしておかしいだろ!」
「そう?」
「…い、いや、まあ嫌いってわけじゃねえし、良いんだけどよ、それでも…」

純情か。
まああれ、例え話みたいなものなんだから気にすることじゃないだろう。

「ってわけで改めて考えてみたらさぁ、中々新鮮でいいんだけど、よくわかんないよね。って、話」
「…逆に、恋人になれるかどうか、で考えたらだめなのか」
「チュー出来るかどうかとか?」
「ぶっ」
「なにさ」
「…いや…まぁそれでもいいが」
「なんなのさ」

なんだか難しいことを言おうとしているな、こやつ。
頭をがりがりとかいている。
私がわからないようなことをほざいてみろ、三代後まで禿げる呪いをかける。

「いや、まあ、なんつーのか…」
「はっきり言いなよわからん」
「…そいつが他の奴と仲良くしているのを思い浮かべて、いい気がしないんなら、恋、なんじゃねぇの?」
「……」
「だぁぁもう!なんか恥ずかしくなっただろうが!!」
「…ザキ、珍しくまとも」
「うるせー!」
「まあ、なんとなくわかったわ。恋の好きには嫉妬と独占欲が含まれてるってことで、おっけー?」
「…まあ、そんな感じ、だ」

なるほどねー、へー、そっかー。
じゃあ私にとってレギュラーメンバー達の存在って…

「…うん、あんた達へはこれ、恋じゃないな、よくわかった」
「何気失礼だなお前」



20140115



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