28日目

サフェリアさんと出会った島から出航1週間目

『そこの海賊船まてー!』

我らが海賊団はこの世界の絶対的正義とやらに追いかけられている。
それというのも全てあの馬鹿が悪い。

たった数時間前、この船は襲撃を受けていた。
突然近づいてきたと思ったらすぐに砲撃してきたその海賊団は“ドンキー海賊団”だとサフェリアさんが言っていた。

ここ、東の海ではそれなりに名を知られた海賊団だったらしいが、こちらも簡単にはやられはしない。

という感じで始まった初めての海賊らしい戦闘だったのだが、途中で海軍船が通りかかったのだ。

最初、海軍は、一般の船が海賊に襲われていると思ったらしいのだ。

何しろ、よく考えたらうちの海賊団、まだ海賊旗を作っていなかったのだ。

で、救援に来てくれた海軍だったのだが、そいつらに向けて、あの馬鹿…ライドが怒ったのだ。

『ふざけんな!こちとら立派に海賊やってんだよ、コラァ!』


で、今に至る。

本当にいらないことをしてくれたな、あいつ。

っていうか、あの海軍船すごいな。

へさきが犬の顔だよ。





「ふぅむ。海賊旗も作っていない新米海賊団だというのに、先程の海賊との一戦は見事じゃったのう」

バリバリ、とせんべいを食べながら呟く中将に向かって一人の海兵が答える。

「ガープ中将。先程の海賊は“ドンキー海賊団”という東の海では名の知れた千五百万ベリーの海賊団ですね。あれを軽々と伸してしまうあたり、奴らは危険性を秘めています。今のうちに捕まえておいた方が…」

「うむ。どれ、拡声器を貸してくれ」

海兵の言葉に頷き、ガープは拡声器を手に取る。




『あー。あー。聞こえとるかね、新米海賊団諸君』

「うっせー!誰が新米海賊団だ!」

拡声器の声に向かって怒鳴るライドの頭を叩く。
余計なこと言って怒らすんじゃねェよ。この馬鹿。

『こちら、海軍本部中将のガープだ。あー…。せんべいやるから大人しく捕まる気はないかね』

「だ、誰がせんべいなんかに釣られるか!バカヤロー!」

懲りずに再び叫んだライドの頭を今度はサフェリアさんがぶったたく。

「珍しいね、サフェリアさんがライドに突っ込むなんて」

意外に思って、サフェリアさんを見ると、サフェリアさんはうっすらと汗をかいていて首をかしげる。

「どうかしたの?サフェリアさーん」

尋ねると、口元をひきつらせながらサフェリアさんが振り返る。

「ユウナちゃん…。聞こえなかった?今、ガープ中将だって言ってたよね?」

「あー、うん。ガープだかケープだかしんないけど、そんな感じに名乗ってたね」

頷くと、サフェリアさんは信じられない!と叫ぶ。

「ガープを知らないの!?あぁ、そうだった、あなた別の世界から来たものね…!海軍本部中将ガープって言ったらあの海賊王ゴールド・ロジャーと渡り合ったっていう伝説の海兵…!なんでこんな東の海にいるんだよ…!?」

あれ。サフェリアさんがオカマ口調じゃなくなるほど焦ってる。

って…

「え、もしかして…今物凄くヤバイ状況だったりする?」

恐る恐る尋ねてみると、サフェリアさんが半笑いで頷く。

「とてつもなく…ね。信じられない運の悪さだわ」

まじ…?



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