いち



ちゃぷん…


アリアは水面から少し顔を出して辺りを見渡した。

時刻は夜。
辺りは暗く、月の光だけが優しく海を照らしていた。

アリアは近くに船がないかと周りを見渡すが、灯りも何も見えない。

うーん、と少し考えるとその場で大きく跳ねた。

柔らかい月の光を反射してアリアの尾びれがキラキラと輝く。

バシャンッ

水に落ちたアリアは顔を輝かせた。ジャンプした時、遥か遠くに小さな灯りが確かに見えたのだ。アリアは小さくガッツポーズをとると、すぐにその灯りを目指して泳ぎはじめた。



キラーはふと、船縁から海を見た。

今、船は宴会中でクルー達は大いに盛り上がっている。
キラーは少し離れた船縁からその様子を眺めていたのだが、月の光に誘われたように海に何となく視線をやったとき、遠くで何かが光った気がしたのだ。

気のせいかとも思ったが、何か視線を外す気になれず、酒を飲みながらなんとなく海をずっと眺めていた。

どれほどの時間が経っただろうか。騒いでいたクルー達の多くが酔いつぶれ、甲板は静かになり、寝てしまった者のいびきが聞こえるだけになった。
キッドは船室に戻ったのか見当たらない。

自分もそろそろ船室に戻るか、とキラーが酒を置いた時。


ちゃぽん…


小さな、だが確実に何かが存在するような水音が船の下から聞こえた。

こんな夜更けに魚が水面に現われたのだろうか、とキラーは眉をひそめて船縁から下を覗き込んだ。




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