twenty-three hop!


「さて、行くか」

念願のローさんとの再会を果たしたものの、これからどうやって危機をローさんに伝えようかと考えていたテトラだったが、すたすたとローさんが歩きだしてしまったので慌てて追いかける。

どこに行く気なのかとちらりとローさんの顔を見ると、素敵に唇がつりあがっていて、明らかに何かしら企んでいることが見て取れた。

まぁ、自分が逃げ出したことで混乱が起こっているだろうからしばらくは砲撃の心配はないか。

とりあえず、ローさんの行動を見守ることにしたテトラだったが、しばらく歩くと見覚えのある廊下を通った気がしてぐるりと周りを見渡す。

(ここ…王様の部屋に続く廊下じゃない!?)


思った通り、ローさんは王様の部屋に向かっているようだが、勿論そこにはたくさんの衛兵達が。

しかし

「ROOM」

あっという間に衛兵さん達はばらばらになってしまい、悲惨な悲鳴が絶え間なく響いた。

全く何度見ても理解ができない能力だなぁ。

テトラは転がってきた生首の一つにちょいちょい、と手を出してみると、悲鳴をあげながらその生首はころころと転がっていく。

(お、面白…!)

思わずしっぽを振ってそれを追いかけて遊んでいたが、突然首根っこをぐいっと掴まれる。

「遊んでんじゃねェ。行くぞ」

ローさんの呆れたような声にようやく今の状況を思い出して、慌てて頷く。


足やら胴やら首やらが転がってる中、王様の部屋にたどりつくと、ローさんは遠慮なく扉を開けた。



「き、貴様…!どうやって牢から…!」

中にいた王様は真っ青になってローさんを見る。

一方、ローさんは王様に構うことなくぐるりと部屋を見渡してからにやりと不敵に笑った。

「なるほどな。思った通りか。悪いがこいつは返してもらうぞ。3億なんかで仲間を売るほど馬鹿じゃねェんだ」

(ローさん…!)

テトラはローさんの言葉に嬉しくなって思わずローさんの足に顔をこすりつけた。

それを見てふっと笑ったローさんを見て、やっぱりローさんは恰好いいな、と少し見惚れてしまった。

「ば、馬鹿め…!お前らの船はこの城の大砲で狙われてるんだぞ!大人しくそいつを渡さんと、お前の仲間はあっという間に海に沈むことになる…」

王様の言葉の途中でドォン…!という大きな音が響いた。それも一回じゃなく何回も。

「悪ィな。その大砲とやらは全部壊させてもらった」

ローさんの言葉に王様はへなへなとへたり込む。

「さて。海賊の仲間に手ェだしたんだ。それなりの覚悟はあるはずだよなァ?」

にやりと笑ってゆっくりと歩み寄るローさんに、王様は腰を抜かしたのかずるずると座りこみながら後ろへ下がるが、やがてローさんに追い詰められる。

「ま、待て!望みはなんだ!なんでも言うことは聞くから命だけは…!」

そう言った王様の言葉を全く無視してローさんは能力を発動させる。

そして、スパンッと王様の首を切るとその首を弄びながらローさんは楽しそうに言う。

「そうだな。とりあえず約束通り食料と水はもらおうか。それから…10億だ」

生首になったことでほとんど気絶しかけていた王様が目を見開く。

「じゅ、10億…!?まさか10億ベリーを…!?」

「それくらいどうにかなんだろ。用意できなければお前は一生そのまま生首だな。どうする?」



意地悪そうに口の端を上げて問うローさんに抗える人がいるわけがないよね。

私は少しだけ王様に同情したのだった。



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