ten hop!


テトラはしっぽをぶらぶらさせながらマストの上に座って青い海を眺めていた。

気持ちの良い海風はそよそよとひげを揺らして通り過ぎる。

クワァーという鳴き声に少し上を見上げれば、カモメが二匹のんきに青い空を飛んでいた。

暫く小さくなっていくカモメを見送ってると、今度は下の甲板でベポの大きな声が聞こえた。
目線を下げると、ベポがテトラー、と呼びながら樽や箱の中を覗き込んでいた。どうやら私を探してるみたい。

そんな小さなバケツに私が入れるわけないというのに、バケツを逆さまに振ってあれ?いないなー?と首を傾げるベポに思わず吹き出した。



もう前の島を出航してから2日経っていた。

ローさんに抱えられて船に戻ると、何故かクルーは全員揃って迎えてくれた。
後から聞いた話によると、行方不明になった私を探すためにわざわざローさんが全員呼び集めたらしいのだ。

キッドさんちでぐーすか寝てる場合じゃなかったと思ったが過ぎてしまったことはしょうがない。

怪我はしたが無事に帰ってきた私にクルー達は一様に良かった、と喜んでくれた。

ベポには、怪我に構わずぎゅうっと力一杯抱き締められ、シャチさんには思いっきりひげを引っ張られペンギンさんにはぽんっと頭を撫でられた。それをローさんが薄く笑いながら見ていて、ようやく帰ってこれたのだと実感が湧いた。

皆とても心配してくれたらしく、見つかったお祝いにそのまま宴を始めようとしたけど、ローさんを追ってきた海兵に船が見つかってしまったので急遽出航することになってしまった。

その後、船でローさん直々に手当てされた私は初めてローさんがお医者さんであることを知ってそれはもう驚いた。

あんな不健康そうな人が医者だと言われてもなかなか信じられる話じゃないよね。


まぁ、それはさておき、ローさんに安静のために3日は部屋から出るなと釘を刺されたのに何故こんなところにいるかと言うと、簡単に言えば抜け出したんです。

もともと傷なんて舐めときゃ治るが持論の私が、銃弾が肩に当たったくらいで3日も動かないことに耐えられるはずがない。

見つかったら確実に怒られるだろうけど、それまではこの特等席を満喫するつもりだ。

甲板で自分を探すベポを観察しながらテトラは大きなあくびを1つした。


天気は快晴。

今日も平和だ。



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