『明日は私がお弁当を作りましょう!』 と言って張り切っていたことを朝起きて思い出した. ガウェインはいつの間にかベッドを抜け出していて,大学へ行く名前に持たせるお弁当をせっせとこさえているらしいのを,寝室の扉を開けてから確認した.昨日昼間に士郎のところへ言っていたと聞いたから,何かを習ったのだろう. 「名前,これを!」 「ありがとう,行ってきます」 「いってらっしゃいませ」 やりきった,と言わんばかりの達成感溢れるまばゆいばかりの笑顔に,そんなことは実際にはないが,眩しさに目を細めた.うちの騎士は知らぬ間に家庭的になろうとしているらしい. お昼,でかい図体を小さくして,キッチンでいそいそと調理をしていたのを思い出しながら,渡されたお弁当箱の蓋を開けると,綺麗に詰め込まれた玉子焼きがずらりと並んでいた. え,玉子焼きだけ?ほかは?? 一瞬で色々と考えたが,ガウェインの性格を考えれば仕方がないとすら思えてきた. 「中を確認するべきだったか...」 「どうしたの?...なにこれ!卵焼きオンリーのお弁当じゃん!!」 「...うちの人,どうやら卵焼きを習ってきたらしい」 友人に一言断って,名前はおにぎりとサラダを買いにコンビニへ向かうのだった. 玉子焼きは帰るまでにちまちまと食べ続け,なんとか空にした状態で帰宅した.しかし,キラキラとしたガウェインの顔を見ると怒るに怒れず,結局士郎に苦情を申し入れるに至ったのだった. |