留守電

苦痛が過ぎるこの時期も、今日でようやく終わりを迎える。テスト最終日。
もちろん携帯は電源を切ってカバンに入れるよう指示されるが、名前も当然サイレントマナーモードにした状態でカバンにいれていた。身につけているのがバレるのはさすがにめんどくさい。

「終わったー!!」
「どうする?飲みにでも行く?」
「いいねぇ、ひとまずランチ行こ!」

答案用紙を提出し廊下に出れば、そんな言葉を交わさざるを得ない。
どこに行く?などと会話をしながら階段を降り、何気なく携帯を確認した。

「ん?留守電?」

珍しく留守電なんて入っていて、断ってから耳を携帯に当てれば聞きなれた声が聞こえてきた。

『名前!駅前で飲んでるからお前もテスト終わったら来い!ディルムッドも居るぞ!』

上機嫌なランサーの声だ。

「なになに?昼間っから飲み会?」
「みたい」
「行きたいんでしょ」
「う、……よし、真衣も来い!」
「いいの!?行く!今日は飲みたい!」

残りの階段を駆け下りて、駅に歩く。冬木の駅前までたどり着いたらまた電話しなければ。

「クーちゃん、肝心のお店、どこよ…」

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