名前が一生懸命に作ったというチョコをもらったのが先月。 なんでも間桐の娘に教えてもらったとか、嬉しそうに話していたのを覚えている。 名前はなにが好きなのだろうか。クリスマスのプレゼントは名前を連れて買いに行ったが、今回はそうもいくまい。ホワイトデーのお返しくらい、自分で選ばなくては。 ケイネスのおつかいで出てきた新都の百貨店で、ちらちらと店を見て回るものの、結局よくわからない。彼女はきっと、自分の選ぶものならなんだって喜ぶだろうと考えて、自惚れている自らに恥ずかしくなる。 この髪飾りは似合うだろうか このワンピースのサイズは合うのだろうか どんな本がすきだっただろうか どんな紅茶がすきだっただろうか そうこうしているうちに、ディルムッドの貴重な1日は過ぎていく。 悩みに悩んで決めたブレスレットを渡せば、名前は想像していた何十倍も喜んで、そしてそれを身につけた。 |