初詣で

人混みの中、ガウェインと名前は並んで歩いていた。みな向かう場所は同じなのだから、下手をしなければはぐれる、なんてことはない。名前は今年は面倒で私服だ。ヒール高めのブーツでも、普段から履き慣れていれば何ら問題はない。
のだが。

「名前、手を」
「ん?」
「はぐれる可能性はゼロではありませんし、そのヒールでは私が心配です」
「・・・そっか」

その気遣いが嬉しくて、ガウェインと手を繋げることも嬉しくて、名前はコートのポケットに突っ込んでいた右手を素直に差し出すのだった。


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