弱点

喫茶店に入ったら、まずメニューを見る。そんな当たり前な行動をした。だけだった。

先週新都に新しくできた、チェーンの喫茶店に来ていた。ここは名前の地元で有名なチェーン店で、大学に入るまではよく行ったものだ。4人がけのボックス席に案内された名前とランサーは、二人でメニューをのぞき込む。

「俺アイスコーヒー」
「私もアイスコーヒーと、ホットドッグを二つ!」
「なっ!?」
「かしこまりました〜」

名前はここのホットドッグが凄く好きだった。それをランサーにも食べて欲しい、という親切心なのに、ランサーは頬をピクピクとさせて堪えているよう。

「お前、…嫌がらせのつもりか」
「そ、そんなわけないじゃーん!」
「ならなんで目をそらすんだ!」
「ぐっ、だってここのホットドッグ美味しいよ!?」
「俺はホットドッグは食えないぞ」
「ふんっ、自分で全部食べるもん」

むすっとして名前は頬杖をついた。
今日は本当はディルムッドと3人の予定だったのだ。だというのに、ソラウがむちゃくちゃな理論で外出を阻んできたから来れない、と携帯に連絡が入ったのはたかだか10分前。まだ名前の腹の虫は収まっていない。

「はぁ、また誘えよ。あいつも断るこたァないだろうしよぉ」
「…また誘う」

しばらくしてやってきたアイスコーヒーとホットドッグご二つずつ。本当に名前は二つとも平らげた。半ばやけ食いである。



***
ヒロインの弱点はディルムッド
クーちゃんの弱点はお犬様

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