“教会にいるね。晩御飯までには戻ります。” ただそれだけ英語で書かれた紙切れが机に置いてあった。きらした醤油を買いにスーパーまで行った短時間に、名前とガウェイン2人の住まいはもぬけの殻になっているではないか。しかも、 「名前の字ではない・・・」 随分と似せたように書いてはあるが、しかしこれは名前の字ではない。日本語で筆跡を似せるより英語のが簡単と踏んでの選択ではあろうが、こんなものを見破るのはガウェインにとって容易い。だって自分は名前のサーヴァンとだもの。 不審に思わざるを得ない状況に、普段は絶対に追おうとしない名前の気配を探した。普通のマスターとサーバントよりも聖杯の仲介が無い分つながりは強い。勿論、すぐに名前の居場所はわかった。確かに教会にいるようだ。ガウェインは霊体化し、教会を目指した。 教会の居間では言峰のサーバント2体が名前を挟んでにらみ合っていた。名前と遊びたい、と思った2人がマンションから半分拉致してきたわけだ。置き手紙の犯人はギルガメッシュである。 「たかがゲームでそんなに喧嘩しないの」 「たかががじゃねぇ」 「そうだ、これは神聖なる勝負だ」 コントローラーを握りしめ、名前、ギルガメッシュ、ランサーと3人でマ●オパーティーをやっているわけだが、名前にはガウェインのことが気になって仕方がない。携帯も置いて来てしまったし。 「勝ったぜ!」 「なに!?」 ようやくギルガメッシュに勝てたランサーが感極まって名前に抱きつこうとした、その時。 「うぉっと」 ランサーの目の前にキラリと光る刃が現れた。 「貴様ら、よくも名前を」 「あ、ガウェイン。ごめんね?」 「名前はいいのです。悪いのはこいつらだ」 殺気立ったガウェインの目に、名前は苦笑いだ。ランサー、ギルガメッシュはゲームに熱中し過ぎた為にガウェインの接近に気づけなかったのを後悔している。 「ガウェイン、剣下ろして大丈夫だよ」 「しかし、」 「ガウェイン?」 「・・・はい」 不満そうな顔をしつつも武装を解いたガウェインは、そのまま名前の真後ろにちょこんと腰を下ろす。名前の言うことには逆らえない。 |