桜蘭*馨-庶民にも馴染んでしまえば

すっかり狭い部屋にも慣れてしまったらしい馨が、庶民おやつ(厚切りバームクーヘンファミリーパック)を食べながらテレビを見ている。紅茶だけは名前の趣味で良いものを飲んでいた。そんな名前は大学の課題をしていた。

「まだー?そろそろ光来ちゃうんだけどー」
「もうちょっとー」
「いっそさきにいちゃいちゃ…」
「課題が先。光来たらしてる暇ないじゃんいつも」
「ぶー」

会話してる間もかりかりとペンを進め、順調に課題は進んでいく。
待ちきれなくなった馨は、狭い部屋のなかで身体を小さくしながら名前の膝に頭を乗せた。

「馨くん、終わりましたよ」
「待ってました!」

馨は膝から飛び起きた。
名前ももう笑顔で受け入れ体制だ。

「名前!んー!」
「はいはい」

唇を尖らせながら馨は名前に抱きつき、チュッと音を立ててキスをした。長い脚で名前を抱え込み、ご満悦の様子。

のときに、来客を知らせるチャイムがなった。

「はいはーい。馨ちょっとどいて、光来たよ」
「もー!光くるの早すぎ!」

そう言いながらも、うきうきした足取りでむしろ名前より先に玄関に向かうのが、馨なのである。双子の仲がいいままなのも、名前の喜ぶところだったりするのだが。

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