彼等の突撃に備えた結果in英霊の座<いろいろ>


英霊エミヤは驚いた。
第五次聖杯戦争を終えて正式に英霊となった彼の隣の座に、先日新たな英霊が雇われたらしい、というのを聞き、律儀な隣人が挨拶にやってきたことでそれが名前だと知った。それは瞬く間に英霊の座に知れ渡り、彼女に興味を持った数多の英霊が彼女の座を訪れ、その近代の英霊であるエミヤも驚くほどの未来都市っぷりに口々に感想を残し帰っていった。本来なら多くの色好みの英霊に言い寄られてもおかしくない容姿の彼女の座から、そんな大英霊達が素直に帰っていく様はなんとも不思議だった。

「そう、いろんな方とお話したんだけど、ガウェインが来てガラディーンで威嚇しだしたわけ。したらみんな帰っちゃった。」
「そ、そういうことか・・・」
「私的にはもっと自慢したかったのに」
「君の宝具は物珍しいからな」
「でしょ?まあ数人残ってたからいっぱいお喋りしようと思ったら、今度はランサー、じゃなかった。クーが来て、私の顔見てポカーンとしたと思ったら、ゲイ・ボルグ振り回しだすし」
「ああ、光の御子か」
「気づかないうちにギルガメッシュが私の部屋でイスカンダルとゲームしてるし、散々」
「君もなかなか大変だな」

と、名前の発言が全てを物語る。
生前よりエミヤの料理のファンであった名前は、現在朝食をたかりに来ていた。が、昨日までより時間が早い気がしていたのだ。

「しかもさ、ギルガメッシュは遅起きだから問題ないんだけど、ガウェインとクーだよ。わざわざ遠いとこから8時にはうちに競うように走り込んできてさ、昨日なんかガウェイン7時半。まだご飯食べてないっつーの」

目玉焼きを作りながら、エミヤは納得した。今はまだ7時10分。そうか、そういうことか。

「そりゃさ、14から死ぬまで、ずっとガウェインとは一緒に住んでたけどさ?今はなんかクーまで走ってくるし、ガウェインが来てくれるのは嬉しいけど、2人がかち合うと私の大事な家が壊れそうでっ、!?」
そんな時、隣の座から大きな爆発音が聞こえ、地面が揺れた。しかも、方向的に名前の座だ。

「今の、・・・」
「嫌な予感しかしないが・・・」
「シロウくん付いて来てっ!」
「ついて行くのは構わんが、そのシロウくんというのは・・・」
「じゃあなんて呼べばいいのよ!」



パニックに陥りかけていた名前をなんとか落ち着かせてエミヤが名前の座に赴くと、ボロボロになった光の御子と、ケロッとした顔の太陽の騎士がいた。・・・今は日中である。

「「名前!」」
「た、頼むからここで暴れないで・・・」
「名前、私は寂しいのです。この夜中貴女と離れていることで、貴女が居なくなってしまうのではと・・・」
「ガウェイン、私はもうここで永久就職だから安心なさい」
「いい加減俺に口説かれてくれよ。好きなんだってめちゃくちゃ!!」
「あんたは近所に愛人が住んでるでしょうが。奥様がいなくて寂しいなら他をあたって」
「「・・・」」

犬だ、犬がいる。
エミヤは名前に怒られる騎士2人を見て心の底からそう思った。
おそらくガウェインは心中に関しての後悔がいっぱいなことからそうなるのだろうが、クーに至っては酷いフられ方をしている。きっと懲りずに明日も来るに違いないが。

「さてシロウくん。朝ご飯にしよう!」
「あ、ああ・・・」


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