部活終わりとか<5槍&4槍&金>


運動部の終了の挨拶の声が増え始め、目の前の陸上部も終わりになったらしい。すっかり名前の横で芝生の上で寝入っているギルガメッシュの肩を揺するが、まったく起きる気配はない。どうせまだランサーが来るまでは時間あるのだからいいか、とそのままにした。

続々とこちらの芝生にやってくる陸上部の面々に目をやりながら、突然日が陰った。驚いて名前が目の前を見ると、Tシャツの袖を肩までまくったハーフパンツ姿のランサーで。

「疲れたー」

いきなり名前の方に倒れ込んできて、抱きついてきた。ランサーは名前の首にに腕を回し、ギルガメッシュとは反対側に身体を落ち着けた。

「ベタベタするから離れてよ」
「しねぇよ」
「さっきめっちゃTシャツで汗拭いてたの誰だよ」
「んー、俺?」
「うわ、ないわぁ」

先ほどしっかり良い腹筋チラリと見ていた名前はランサーを引き剥がそうと試みて、重すぎて失敗。

「名前、大丈夫か?」
「あ、ディルムッドさん。あんまり、大丈夫じゃ・・・」
「クー殿、離れてやってください」
「えー、だってこいつすっげぇいい匂いすんだぜ?」
「クー殿・・・」
「この変態がっ!さっさと着替えてこい!」

しぶしぶ名前から離れたランサーは、ディルムッドを伴って部室へと歩いていった。ギルガメッシュは一連のやりとりの騒音の中でもぐっすりである。どうせ昨夜も遅くまでゲームをしていたに違いない。

「ギル様、そろそろ帰るよー」
「・・・白雪姫」
「しねぇよ阿呆」
「いっ」

寝ぼけ眼でギルガメッシュが遠まわしにキスをねだる。が、そんな間柄では勿論無いので頭を軽く叩いておく。

「終わったのか?」
「うん。すぐくるでしょーよ」
「まったく、王を待たせるとは何事か」
「さっさと帰っても良かったんだけどね」
「それはならん。己が持ち物の管理はせねばならんであろう」
「・・・誰のこと」
「名前に決まっておるであろう」

そういってギルガメッシュは名前にすり寄ってきた。もう慣れたことなので、とくに反応もしない。
が、そういう本人の思いとは裏腹に身体は勝手に宙に浮き、気が付けば逞しい腕に抱かれていた。

「大丈夫か?」
「あ、あ、あ、あああの、ディルムッドさん、何して」
「クー殿が走るのが嫌だと仰るから、代わりに名前の救出に、と」
「ありがとう、ございます・・・」
「雑種、我の持ち物に勝手に触れ、あまつさえ持ち出すなど言語道断!」
「ギルガメッシュ、お前は少し遠慮しろや」
「な、駄犬のくせに・・・」
「犬じゃねぇし」

しばらくのあと名前はディルムッドに地面へと下ろされたが、未だいつの間にかたどり着いていたランサーとギルガメッシュの言い争いは続いている。挙げ句の果てには今晩のメニューで揉めているではないか。

「私も今晩どうしよっかなぁ」
「うちもまだ決めていないんだ。・・・と言っても、今日は1人なんだがな」
「へ?先生達は?」
「レストランの予約をしたらしい。・・・そうだ、これからどこか寄るか?」
「いいんですか?」
「ああ、1人よりいいだろう?」
「なんだそれは、我も混ぜろ」
「ギルガメッシュ、ちょっとは名前に・・・ってギルガメッシュもだったな」
「クー殿、どうせならこれからみなで食べに行きませんか?」
「そうだなぁ、まあどうせ言峰は俺らがいなくても麻婆があるからな、いいだろ」
「よし、クーちゃんけってーい!」

ワイワイと帰り道。これからどこで食べるか、再び金持ちギルガメッシュと貧乏名前が揉め出すのはまた別の話である。


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