竈門炭治郎の場合



「えっ…と、その、にっ似合ってるぞ!」
「……アリガトウ、ゴザイマス」


 思わず片言で返せば、彼も匂いで今の私の何とも言えない心境が伝わっているのかオロオロとしている。
 無言でスルり、と羽織っていた彼の羽織を脱いで丁重に畳み、スっと彼の目の前に差し出してそのまま深々と頭を下げた。


「勝手に着てごめんなさい!気持ち悪いよね!?」
「えっ!?あっ、頭を上げてくれ!俺は大丈夫だから!!」


 その困った声音にゆっくりと顔を上げれば、案外近くに迫っていた彼の顔が目の前にあった。が、その距離に彼がいち早く気付いてバッと距離を取る。
 ……あぁうん、まぁ、だよね。分かってるんだ、炭治郎は優しいから気にしてないって言ったんだよね。本当は結構引いてるよね……。


「あの、本当にごめん…二度とやらないから、せめて嫌わないでくれると嬉しい……」
「き、嫌いになったりなんかしないぞ!?寧ろ凄く似合っていたから、また名前に着てほしいと思った位で、…?……っあ!」


 しまった!というように、ジワジワと染まっていく彼の頬を呆けて見ていた。
 まさか、彼がそんな風に思ってくれたなんて。


「……その、また着てもらっても、良いか?」
「た、炭治郎が良いなら……」


 その後、時折着てくれないかとせがまれるようになった。




結果
長男は時折思い出して、実際にまた見たいから着させる事を定期的に無意識でやるとんでもねぇ長男。
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