11月に入ったからか最近夜は寒くて…
なかなか寝付けない


――――駄目だ、眠れねぇ


誰か一緒にいてくれたら、
ふと思い浮かんだ相手はあの兎耳で。


寒い中もそもそと起き上がり俺は残夏の部屋に向かった


残夏の部屋の前に着いて
やはり、こんな時間に押しかけるのは失礼だろうか、とか
もしかしたらもう寝ているかも、とか色々考えてしまったが

ここまで来たんだ
漢なら今更帰るんじゃねぇ!
と、自分に言い聞かせ

ピンポン、と震える手でチャイムを押した



……………




――――まぁ、寝てるよな。


やっぱり1人で部屋に戻って寝よう、と帰ろうと試みると
ガチャ、と扉が開いた


「渡狸?こんな時間に何の用?」


扉から顔を出したのは髪を下ろした私服の残夏で
首からタオルをかけている

おそらく風呂上りだろう
彼の髪からはポタポタと水滴が落ちている


「ざ、残夏っ!こんな時間に悪り…」

「別に大丈夫だよ、まだ寝てなかったし」


で、どうしたの?と優しく微笑む残夏。

俺はこいつが優しく微笑む様子がたまらなく好きで
自分で鏡を見なくてもわかるくらいかぁっ、と顔が赤くなる




「寒くて全然眠れないんだ…」


一緒に寝てもいいか?と尋ねてみる
残夏の顔を見るとふんわりと笑って


「いいよ、おいで」


なんて言うから更に顔が赤くなった気がした



部屋に入ると早々に寝室へ促されるように連れて行かれた

ベッドに腰かけるとギシ、と音を立てた


「…じゃあ寝ようか?」

残夏に腕を引かれ体勢を崩し布団の中へ潜り込んだ

鼻と鼻が触れ合うくらい近い
堪らなくなって顔に熱が集まったのがわかる



「渡狸あったかーい」

と言って優しく抱きしめてくる手は思ったより冷たくて


「ざ、残夏っ!つめてぇっ!!」


反射的に離れようとするけど更にぎゅうぎゅうと抱きしめられて。


「駄目ーっ♪渡狸あったかいからもっとくっつこう?」

そう言いながらすんすんと鼻息が聞こえる
匂いを嗅ぐな、なんて言ってる暇なんかもなくて


「う、か、勝手にしろ」


そう言うだけで精一杯。


俺が寒くて一緒に寝たかったのに
残夏と一緒に寝て更に寒くなった気がする

忘れてたけど残夏冷え性だし、


でも独りで寂しく眠るよりは
残夏と眠ることで心から暖められた気がした





***


「ざ、残夏………」

「んー?なあに?」

「あったかいな、さんきゅ」


いいえ、と言って頬笑み彼の胸に自ら頭を預けて眠りについた





2012/11/06
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