「わったぬきーっ!おはよーっ」


10月10日朝7時。
1号室の俺の部屋の中で残夏の声が聞こえる

俺を起こしに来てくれたのはわかっていたけれど
頭の中はまだ寝惚けているようで
まだ寝ていたい気持ちが強く残夏の声が聞こえないように
顔が隠れる位まで布団をかける

するとすぐに布団を没収され耳元で囁かれた


「ホラ。起きなきゃ駄目でしょ?」

そう言うとふっと耳に息を吹きかけてきた
途端にハッと目が覚めた

「うぁっ・・・いきなり、な・・・何し・・・」

顔を真っ赤にしてこれ以上もう何もされないようにと起き上がる

「おはよう、渡狸。起こしに来たんだよー」

ニコニコと微笑みかけ顔を近づけてきた
互の額がコツン、とくっつき睫毛が触れ合いそうだ

「ち、近い・・・っ」

「ふふ、渡狸誕生日おめでとうっ」


は・・・・・・?

誕生日・・・・・・・・・?


「だ、誰の・・・?」

「君以外に誰がいるのさ」

え、俺・・・今日誕生日!?

「まだ寝惚けてるのー?可愛いなー」

そう残夏は言うと優しく微笑みながら
俺の頬に口付けをしてきた

何をされたのか一瞬わからず顔を赤らめながら
何度も口をパクパクと開閉させる

「な、な、何して・・・っ」

「んー?なあに?」

分かってる癖にわざと聞き返してくる



なんだかずるい。


「い、いきなり何しやがる」

頭の中がぐるぐるななか、
俺は精一杯に言葉を紡ぐ。

「ん?する前に言って欲しかった?」

「そ、そうじゃねぇっ!」

俺が否定すると同時に前髪をゆっくりとかきあげられ
思わず目をきゅっと瞑るとくすくすと残夏は笑った

「あ、渡狸。時間」

思い出したかのように残夏は時計を指差す
俺も残夏の指差した方へと視線を向ける
時計の針は7時20分を指しておりいつもなら既にラウンジで朝食をとっている

まだ学校には間に合うがこんなに時間が過ぎていては
さすがにカルタ達に心配されるかもしれない

そう思いつつ再度残夏に視線を戻すと

「行ってらっしゃい」

と優しい声色で
額にキスが落とされた




***


(そ、そうだ。残夏、プレゼントは?)
(えー?何?欲しいの?図々しいね君は)
(う、うるせぇっ!)
(今週の休みに渡狸の好きな所、連れて行ってあげるよ)
(っ!!!)




2012/10/10
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