28話 2/4

 試合当日。控室から出てきた雷門イレブン、否、豪炎寺と円堂に向けて、武方三兄弟が煽るような言葉をかける。対して円堂は「絶対に負けない!」と拳を握った。
 試合開始直後、武方三兄弟が絶妙なコンビネーションで駆け込んでくる。あっという間に三男・努のバックトルネードが決まってしまった。
 この数日間、厳しい特訓を重ねレベルアップした実感のあった円堂は、「この前のバックトルネードとは桁が違う!」と驚きを隠せない。対して三兄弟は、「試合前に本気出すわけないだろ?」と笑い声を上げた。
 試合再開後、またしても武方三兄弟が切り込んでくる。今度は円堂のゴッドハンドが決まり、追加点を防いだ。しかし、木戸川清修の猛攻は止まらない。三兄弟の息の合った攻撃に、雷門イレブンは反撃のチャンスを見つけられずにいた。
 花音は真ん中下、DFに程近い位置でフィールドを見渡す。武方三兄弟は確かに強力だが、それ故に鬼道や松野達が厳しくマークしている。彼等に注目が集まれば集まるほど警戒は強まっていき、段々と動きが鈍ってきた。更に、木戸川清修の他選手が上がろうとすると、三兄弟はボールを奪い取って自分達のチャンスに繋げている。まるで、他の誰にも任せられないといった様子だった。
 花音は次に鬼道を見る。彼は木戸川清修にプレッシャーを掛けながら、同じく周りを広く見て不敵な表情を浮かべていた。前半戦も残り10分を切ろうとしている。ボールがゴールラインを割ったタイミングで、打開策を持っているであろう鬼道がチームメイトに声を掛ける姿が見えた。
 円堂のゴールキックで試合が再開される。雷門ゴール近くに居る土門へ渡ったボールに、三兄弟はすかさず駆け寄ってきた。一方、前線の豪炎寺と染岡が木戸川ゴールへと駆け上がる。突然の両サイドからの動きに、三兄弟も意識を後方に向けた。
「鬼道!」
 土門がセンターサークルに立つ鬼道へロングパスを出す。武方三兄弟の頭上を抜けて、ボールは鬼道へと渡った。
「今だ!」
 鬼道の合図に、円堂と土門も駆け上がっていく。花音はゴール前に付いて、彼らの作戦通りに進む状況に笑みを浮かべた。
 鬼道からのパスで、一之瀬が前線でボールを受け取った。一之瀬、土門、円堂が跳び上がり、ペガサスが高い空に羽ばたく。豪炎寺と染岡をキツくマークする木戸川清修を尻目に、連携技・トライペガサスが木戸川清修のゴールを割った。
 1-1と同点に並んだタイミングで、前半終了のホイッスルが鳴り響く。円堂と豪炎寺がハイタッチを交わした。

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