パパが帰ってきた。
それまで言いつけ通りに働いて仕上げた私の傑作、‘世宇子イレブン’をパパに披露する。パパは気に入ってくれたみたい。
先日の試合では、帝国学園を圧倒的な差で倒してみせた。鬼道くんは足の不調とやらで出場しなかったけど、鬼道くんが出ていた所で変わらなかったと思う。
この圧迫感溢れる彼らの気品。急拵えにしてはなかなかの出来だよ、ね?

「はい。」

私が配合したドーピング作用のある薬物、通称‘神のアクア’を世宇子イレブンに配る。キャプテンである亜風炉くんは「ありがとう」と気障ったらしく微笑んだ。
嫌みなの。鬼道くんならもっと美しく…じゃない、何考えてるんだ、私。
ブンブンと頭を振って鬼道くんを頭から追いやった。仮にも今私は世宇子イレブンのマネージャー。それに鬼道くんはパパに刃向かった、言わば反逆者だ。
馴れ合うのは勿論、好意を寄せるだなんて言語道断。今までのように‘大好き’な鬼道くんを‘大好き’だと形容してはいけないんだ。
パパに従順であるべきの私は一抹の恋心を荒ぶるフィールドに棄てる。
さあ、走ってらっしゃい。私の戦士たち。
あなた達が勝ったなら、私もきっと鬼道くんを忘れる事が出来るから。悪事に脳内まで侵食され、全て忘れてしまえばいい。

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テーマ「人外ファンタジー」
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