傷ついた頬に手を当てる。一之瀬はピクリと反応を示し、けれどやせ我慢をして笑う。気持ちは確かに、楽になったのだ。
こんなにボロボロでも、仲間を救えた喜びは大きなものなのだろう。宇宙人と思われた敵を倒して雷門中へと帰ってきた雷門イレブンの前に現れた、新たな敵。だけどその素顔は敵ではなく、仲間、だったのだ。
旅の途中離脱していった者などで構成されたメンバー。怪しい光を放ち彼らを操る不思議な石、エイリア石。
痛々しい戦いの中、キャプテン君のアツい呼びかけで彼らの意識は正常と化した。

「サッカーやろうぜ!」

眩しい少年だと思う。そしてどことなく、一之瀬に似ている。

「頑張ったね…」

「…おなまえ…」

色々あったろう。途中からこの旅に参加した私には分からないような、色々が。
一之瀬の頬に当てていた手が離される。一之瀬の左手に握られた私の右手。彼の右手が私の顎を持ち上げる。
短いリップ音がして、私の頬に温もりが伝わった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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