降り立った沖縄。真夏に酷似した猛暑はじわじわと俺たちを苦しめる。
「おなまえー、日傘入れてよー…」
「嫌よ。暑いんだから近づかないで。」
いつも涼しげに澄ました表情をしているおなまえも、今回ばかりは堪らないよう。白い日傘の下でせわしなく扇子を動かしている。
「そないケチな女止めてウチと海でも泳がへん?ダーリ〜ン」
腕が絡められてぐっと寄せられた。こう言っちゃなんだが若干おなまえの顔が歪んだのが嬉しい。それって嫉妬?
「…す、少しぐらいなら入ってもいいわよ…。」
「本当っ!?」
「なっ!!」
俺はリカの腕から抜けておなまえの日傘に入った。余計に暑いのは火照ったおなまえの頬のせい。
…もしくは焦げるようなリカの視線のせい。
「ダーリンのアホーッ!」
「ふっ…」
勝ち誇った表情のおなまえに、思わず抱きしめた。驚いて口が回らないおなまえが愛おしい。
「おなまえ、好きだよ」
「な、何言ってんのよ、一之瀬のバカッ!!」
いつかに良く似た平手打ちが飛んできたけど、慌てたおなまえも可愛くて俺はその後も笑顔だった。
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