積まれた衣類の量に、私は思わず半歩下がる。

「こんなに…?」

「えぇ。いつも洗濯できる訳じゃ無いからね。」

隣にて行動を開始した木野さんが、洗濯篭を小脇に抱えて衣類の分別を開始した。迷う様子のないその行動からは慣れが感じられる。私も恐る恐る手を伸ばした。

「色の薄いものと濃いもの、それから汚いものと綺麗なものに分けてね。目分量で良いから。」

選手のマネージメントなんて言っても所詮はお手伝いのようなものか。こんな仕事まで嫌な顔せずこなす木野さんたちに感服だ。
私が行った仕分けは、木野さんのそれの半分もいかなかった。木野さんは「その内慣れるよ」と笑って去って行ったけど、私は木野さんのように的確に行えるようになれる気がしない。
干してある洗濯物の皺を伸ばした。

「おなまえ!」

風にはためく布々の間から、ちらりと一之瀬が見えて隠れる。目の前のせっかく伸ばした布が退かされ、一之瀬が現れた。

「仕事お疲れ様!」

魔法の言葉なんて言わないけど、またこの仕事をするのもいいかな、と心の端で思う。木野さんが頑張れる理由が分かった気がした。

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